研究課題/領域番号 |
17K01632
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
岩田 靖 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60213295)
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研究分担者 |
谷塚 光典 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30323231)
藤田 育郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (90608027)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 指導言語 / 教育実習 |
研究実績の概要 |
本研究課題の1年目である2017年度は,体育授業において教師が用いる「指導言語」を対象とした先行研究についての動向をまとめるとともに,教員養成段階の学生を対象として「指導言語」に対する視点の育成を意図した教科教育法の授業の効果を検証することに試みた。 まず,前者の「指導言語」を対象とした先行研究の動向からは,「言葉の対象」と「言葉の形式」といった2つの側面から「指導言語」研究を進展させていく必要性が示唆された。 また,後者では,「指導言語」に対する視点を育成する手立てとして,eラーニングによる動画視聴(言葉がけの模擬体験)を行わせた。その結果,受講者の言葉かけに質的な変容がみられたことから,eラーニングによって言葉がけの模擬体験を行うといった課題は,「指導言語」に対する視点を育成していく上で,一定の効果を有したものであると判断できた。また,言葉がけに質的な変容がみられた受講生は,運動実施にかかわるつまずきの分析が的確であり,それを学習者に伝達されやすいような言葉に再構成しようと試みていることが明らかになった。さらに,つまずきの分析が的確であっても,それを学習者に伝達されやすいような言葉に再構成しようとするところに課題が存在していることが明らかになった。その一方で,つまずきの分析が的確でない受講生も少なからず存在していたことから,「指導言語」を生み出していくことに向けた手立てとともに,運動観察の力や運動構造の理解といった専門的な力量を形成していくことの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体育授業において教師が用いる「指導言語」を対象とした先行研究についての動向からは,「言葉の対象」と「言葉の形式」といった2つの側面から「指導言語」研究を進展させていく必要性が示唆された。 また,「指導言語」に対する視点の育成を意図した教科教育法の授業の効果を検証することに試み,一定の成果を得ることができている。 これらのことから,本研究課題はおおむね順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
体育授業において教師が用いる「指導言語」研究を進展させていく方向性,「指導言語」に対する視点の育成を意図した教科教育法の授業の成果,以上の2点を踏まえて,今後は,大学での学修の成果が教育実習にどのように機能するかという視点で継続的な調査をしていくことを予定している。 具体的には,「指導言語」に対する視点の育成を意図した教科教育法の授業を受講した学生たちが,教育実習における授業場面において,どのような教授パフォーマンスを発揮するのか,このような点について,質的・量的の両側面から検証していくことが必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由・・・平成29年度は,教育実習を行う外部機関(附属学校)に出向いての調査を計画していたが,所属する研究機関内部(大学)での調査が主たる内容となった。教育実習を行う外部機関に出向いての調査は,平成30年度に実施する計画へと変更したため,外部機関調査に関わる機器(ビデオカメラやその周辺機材)を充実させる必要性が次年度に繰り越されたためである。 使用計画・・・次年度は,教育実習を行う外部機関に出向いての調査が主となるため,調査機器(ビデオカメラやその周辺機材)や,授業自動収録・遠隔送信システムの整備に充当していく予定である。
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