研究課題/領域番号 |
17K01632
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
岩田 靖 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60213295)
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研究分担者 |
谷塚 光典 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30323231)
藤田 育郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (90608027)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教育実習 / 模擬授業 / 組織的観察法 |
研究実績の概要 |
本研究課題の2年目である2018年度は,信州大学教育学部附属長野中学校で実施された教育実習を対象として,学部と附属学校が連携・協同した教育実習指導プログラムの成果と課題について検討した。 信州大学教育学部では,3年次の附属学校における教育実習を挟む形で教科教育法の授業科目を位置づけている。教育実習前の2年次前期には教師行動や教材づくりの基本的概念について学ぶ講義科目を,教育実習後の3年次後期には各運動領域の特性に応じた教材づくりのポイントについての学習や教育実習で認識した自己の課題の解決を目指した模擬授業に取り組む2つの演習科目を設定している。これらは,教育実習と大学での授業における「往還的な学び」を意図したカリキュラム設計であるといえる。 2018年度に信州大学教育学部附属長野中学校で教育実習を行った2名の学生を対象として,教育実習中の教師行動を組織的観察法(期間記録法と相互作用行動記録法)によってデータ収集し,教育実習終了後にデータに基づいた反省(課題点の把握とその解決に向けた方法の探索)を行った。その後,自己の課題の解決を目指した授業科目において実施した模擬授業における教師行動について,同様に組織的観察法によるデータを収集した。その結果,教師行動,特に相互作用行動について量的な改善がみられたことや教育実習中の自身の教授行為を客観的に観察しながら反省を行う経験が効果的に機能していることが明らかになった。その一方で,教育実習において実習生が実際に指導する教材をどのように選択するかという点が課題として残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は,実際に教育実習を行った教員養成段階の学生を対象として,学部と附属学校が連携・協同した教育実習指導プログラムの成果と課題について実証的に検討することができた。この点から,本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる。 特に,教育実習と大学授業における往還的な学びを意図した本学部におけるカリキュラム設計の中で,2名の教育実習生を対象として追跡的にデータを収集することができたため,より信頼性のある成果が得られたとともに,今後の検討課題も明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように,教育実習と大学授業における往還的な学びを意図した本学部におけるカリキュラム設計の中で,2名の教育実習生を対象として追跡的にデータを収集することで,今後の検討課題も浮き彫りになった。それは,教育実習において実習生が実際に指導する教材をどのように選択するかという点である。 2018年度に対象とした2名の教育実習生は,ともに球技・ゴール型を単元教材として指導を行った。しかしながら,ゴール型のゲーム教材に対する教材解釈の難しさを両名とも指摘しており,このことが積極的な相互作用行動を阻害している要因の一つとして考えられた。今後はこの点についても視野に入れ,附属学校と連携・協同した教育実習指導プログラムについて検討を深めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由・・・本研究課題におけるデータ収集のために,教育実習生による体育授業をビデオ撮影したが,2018年度は対象とした実習生が2名と少数であったため,少ない実験機材でまかなうことができた。当初予定していたビデオカメラやその周辺機器を充実する必要が生じなかったためである。 使用計画・・・2018年度に実施した教育実習生を対象とした調査を継続的に行う予定である。その際の実験機材(ビデオカメラやその周辺機器)を充実させることを計画している。
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