平成31年度は、安全で効果的な柔道の授業を行うことを目的に、これまでに申請者らが構築した「受け身のドリルゲーム」を用いて、大学生を対象とした授業において、新たなデータを収集し蓄積を加えた。 大学生の場合、中学校、高等学校における柔道授業の履修の有無、性別差、日本人と留学生の国籍差など、これまでの体育経験の異なる学生が一緒に授業を受けることがある。そのような場合に、様々な条件の異なる者が共に柔道を学び、主体的・対話的に授業を進めるための工夫が不可欠である。そこで、柔道の基本技能である受け身のゲーム化によって、その得点を受け身のできばえの目安として、受け身毎や他者と比較することで、自己の得点の伸びを前時と本時で比較することができ、自己評価やデータの蓄積も可能となった。 このような受け身のゲーム化は、学習者の自主性・積極性を促すのみならず、できばえの観点を全体で共有できることから、柔道の技能動作の「見える化」にも繋がるものと考えられる。 平成31年度の研究成果としては、「技能動作見える化を目指した受け身ドリルゲームの実践」および「投の形の学習過程における感覚変容(その2)ー腰技におけるインタビュー調査からー」のテーマで、日本武道学会第52回大会(国学院大学)においてポスターおよび口頭発表を行った。 また、より詳細に柔道の技能動作の「見える化」を図るための、3方向モーションキャプチャーシステムの導入ができた。
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