本研究は、気になる子を含んだ発達障がい児の就学支援に役立つ身体表現遊びのプログラムを開発をテーマとしており、次の4点を明らかにすることを目的に展開した。①発達障がい児の就学支援における(ムーブメント法を土台とした)身体表現遊びプログラムの適用の可能性。②就学移行期の発達障がい児の支援に携わる様々な機関において実践でき、横断的かつ継続的に子どもの育ちを支えることができる身体表現遊びのモデルプログラムの内容。③モデルプログラムに対する保育者・教師・支援者や保護者の評価とそれらに基づく改良点。④改良したモデルプログラムを実際に発達障がい児の就学支援として適用した場合の効果や課題。 1年目の基礎研究に続き、2年目はモデルプログラムを提示した。保育者・教師・支援者および保護者を対象に調査を行い、現場のニーズと照らし合わせながら、その可能性や課題について考察した。3年目は、保育所、行政、療育機関の協力を得て、翌春2020年4月就学予定の子どもを対象に、就学前支援プログラムとして実施し、プログラムの実践内容と効果について考察を行った。最終年度には、引き続きプログラムを実践ながら、対象児の学校適応の実態を調査する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、主に療育機関(放課後等デイサービス)における集団活動の様子や教師、保護者等の関係者へのアンケート及び聞き取り調査を通して考察を深めた。 発達障がい児の就学支援においては、彼らが抱える困難の「克服」や「軽減」をねらった個別訓練的な介入以上に、「関係性」に着目し、相互尊重というあたり前の理念の下でかかわることのできる場が必要であるとの認識を得た。そのような視点において、身体表現遊びの要素を活かした集団活動は有効であるとの手応えを得ており、2021年度以降も引き続き基盤研究(C)(課題番号21K11562)において実践研究を行う。
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