研究目的に対して、研究課題を2つに分けて研究を実施してきた。 1つ目は、ダーツゲーム中の脳賦活状態をfNIRS(LABNIRS(島津製、38CH、37Hz))により計測することであった。2つ目は、ウェルネスダーツの認知機能に及ぼす効果を縦断的に検討することであった。1つ目の研究課題ではダーツゲーム中の頭部の揺れによるモーションアーチファクトの混入が激しく、安定的なデータ取得が困難であることが判明した。そこでおよそ2年かけて、5種類のモーションアーチファクトの除去方法を検討してきた。比較したモーションアーチファクト除去手法は、1)targeted principle component analysis(tPCA)、2)principle component analysis(PCA)、3)movement artifact reduction algorithm(MARA)、4)kurotsis wavelet(kWavelet)、5)Correlation-based signal improvemnnt(CBSI)の5手法である。各処理の結果を比較した結果、tPCAがフィルタ処理に有効性が高いことが示唆された。 2つ目のレーニング実験では、健常な高齢者31名(男性9名、女性22名、 73。6±3。4歳)を対象とした。被験者を、ダーツを行うトレーニング群と何も行わないコントロール群に分けた。トレーニングは6か月間行った。認知機能の評価項目は、引き算テスト、ワーキングメモリ検査、PEGテスト、WCST(認知的柔軟性検査)の4つを設けた。期間及び群間の2要因分散分析を行った結果、引き算テスト、PEGテスト、WCSTでは交互作用が見られなかったが、ワーキングメモリ検査で有意な交互作用が認められ、ダーツトレーニングが高齢者のワーキングメモリ能力の向上に寄与する可能性が示唆された。
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