研究課題
本研究では,伝統芸能における「場」がどのように生成され,それが文脈や状況に応じてどのように変化するかを,理論的,科学的,総合的に解明することを目的とする.具体的には,立方(舞踊家)・唄方(唄い手)・地方(三味線奏者)の身体技法をデジタル技術により計測するとともに,稽古場や舞台上演へのフィールドワークを通じて,即興としての上演の「場」がどのように生成されているかを総合的に考察することを目指す.本年度は,伝統芸能における「場」研究のための準備段階としてインタビューやフィールドワークを通じて「場」生成の現状を把握するとともに,「場」生成研究のsurveyおよび 「場」の生成に関する基礎研究を行った.フィールドワークでは,舞踊家(花柳流師範)4名へのインタビューを通じて「わざ」「間」「場」に関する考え方をそれぞれとりまとめた.特に「型」の概念について丁寧な聞き取りを行い,伝承されるべき「型」と,舞踊家としての個性である「表現」についての考え方について,各舞踊家の私見を伺った.また本研究の素材演目である『北州』の上演会場に出向き,立方,唄方,地方が集う「場」において,演目が即興的に生成される様子を観察した.また,伝統芸能にかぎらず,人と人とが出会う「場」として会話,ディスカッション,等の状況を設定し,初対面者同士が出会う場においてどのようなことが起こるか,という問題について,複数の実験室実験を行った.次年度,舞踊家の生体情報を取得する実験を行うための準備も行った.特に,心拍,加速度を計測するための機器を購入し,本実験のための予備実験を行うことで,機器の取り扱いや分析のための準備作業を行った.
3: やや遅れている
当初予定していた内容の実験準備のために時間を要したため,本実験を実施するには至らなかった.平成30年度には速やかに予定していた実験を実施する予定である.
これまで舞踊家(立方)との連絡は密に行ってきたが,唄方,地方との連携をとることが想定以上に困難であったため,次年度は連携を密にとっていきたい.
2017年度に予定していた実験が準備にとどまり,実施できなかったため,2018年度は2017年度に予定していた実験を速やかに行い,予算を執行する.
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
日本教育工学会論文誌
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音楽知覚認知研究
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