研究課題/領域番号 |
17K01653
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
阪田 真己子 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (10352551)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 間 / 日本舞踊 / 伝統芸能 / 舞踊歴 |
研究実績の概要 |
本研究では,日本の伝統芸能における「場」がどのように生成され,それが文脈や状況に応じてどのように変化するかを,科学的,総合的に開明し,最終的に「伝統芸能における場とはどのようなものか」を体系化することを目的としている.本年度は,日本舞踊の一つである「詩舞」における「間」に対して,「演目中の『とめ動作』として身体が静止している時間」,「振りから振りに移るときの静止または移行時間」,「振り自体に費やされる時間」,「音楽と舞踊の開始時間」の4つの観点からアプローチし,日本舞踊における「間」がいかなるものかを定量的に検討することを目的として行われた 実験は、菊水流日本吟道会 副会長上杉翠玲氏の協力により,門下生10名と上杉氏を併せた11名による詩舞の収録により行われた.詩舞の課題曲として用いられた『九月十日』という演目を一人2回ずつ行い,ビデオ撮影でのデータ収集を行った.収録映像を元に,上記の4つの観点から「間」の取り方について定量的な分析を行った. 分析の結果,「間」の取り方の定量的分析に基づいて,協力者を3群に分けることができ,その分類は舞踊歴と関連があることが示唆された.この結果は,舞踊の習熟によって「間の取り方」が異なり,そのバラエティはある程度類別化することが可能であることを示している.「間の取り方」が伝統舞踊において重要なスキルであることは従来から定性的に認識されてきたが,それがデータに基づいて裏付けられた点は極めて重要である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
舞踊の収録の機会が当初の予定よりも遅れているため. 今年度は当初計画に盛り込んでいた地方の収録を行いたいと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度のため,これまで収録してきたデータの整理,分析と,成果の公表を行いたいと考えている. とりわけ,映像,音源の公表は,踊り手や地方(演奏者)の肖像権やデータ所有権と関わるため,慎重に相談の上,随時公表していきたいと考えている. 昨年度収録したデータの分析が終わっていないところもあるので,今年度はアルバイトを増員し,MOCAPデータの編集,映像コーディング作業を進め,成果発表に持ち込みたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度,収録済みの映像,データの編集作業を行うアルバイトの雇用が遅れたため,その謝礼額分と,当初予定していた地方(演奏家)を対象とした実験が遅れているため. 今年度は両案件とも上半期のうちに実施するべく整備をしているところである.
|