研究課題/領域番号 |
17K01654
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
石田 智巳 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90314715)
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研究分担者 |
加登本 仁 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (40634986)
制野 俊弘 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (70795153)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 実践記録 / 体育授業 / ナラティヴ・アプローチ / 語り直し |
研究実績の概要 |
本研究は,ナラティヴ・アプローチを用いて教育実践,とりわけ体育実践をとらえようとするものである。教師を対象にした教育実践におけるナラティヴは,ライフ・ヒストリー研究がこれまでなされているが,教師が自分を一人称にして語る(記述する)教育実践記録もまた教師のナラティヴとみなしうる。しかしながら,生活綴方の伝統を持つ日本においても,教育実践記録を教師のナラティヴとみなし,語り(記述)の変容をとらえようとした記録は少ない。 そこで,本年度は,ある教師の実践記録を分析することで,教師による語り(記述)の変容の一端を明らかにした。そこでは,教師の体育指導の困難さを乗り越えるために,生徒たちに「どんなバレーがしたいのか」と問い,それを考えさせながら実践させることで,生徒たちから出てきた1つの答えに導かれるように,教師の体育指導に対する語りが変化した。この実践では,子どもたちの考えに導かれて教師の語りが変化したのであるが,教師の語りを変化させた要因と思われる実践記録をもとにした研究会で何があったのかについては明らかにできなかった。 また本年度は,学外研究期間にあたり,アメリカで体育授業を観察し,また教師に話を聞く機会を持つことができた。アメリカはナショナル・スタンダードがあるが,各州のスタンダードによって体育実践は規定されているため,教師の語りはそれらスタンダードに寄るところが大きいと思われる。実践を見ると,明らかに日本のそれとは違うものであった。ただ語学力の問題や時間の問題もあって,訊くにとどまり,文字化して分析するには至らなかった。しかし,日本の体育実践を相対化して考える上で,非常に参考になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,1年間アメリカにいたため,途中の一時帰国のときしか体育実践の検討会に参加することができなかった。しかしながら,それまでに進めていた研究を元に,体育実践にナラティヴ・アプローチを見出し,それを学術論文として掲載された。また,これにより次の課題が明確になったため,このような評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,より積極的に実践検討の研究会に参加し,研究会での協議の様子を文字化して分析してみたい。また,教師の実践や信念の変容をもたらしたと思われる実践(記録)の分析とインタビューを通して,その変化に関わる要因を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表である石田は,4月から1年間アメリカで研究活動を行い,3月末に帰国した。そのため,精算が終わらずに新年度(2019年度)を迎えたため,次年度(2019年度)使用額が生じることとなった。その多くは4月以降に執行されているため問題はないと考えている。
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