研究課題/領域番号 |
17K01654
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
石田 智巳 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90314715)
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研究分担者 |
加登本 仁 安田女子大学, 教育学部, 准教授 (40634986)
制野 俊弘 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (70795153)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ナラティヴの変容 / 活動システムモデル / 矛盾 |
研究実績の概要 |
2020年度は,実践記録を元にした研究会と授業への参加,また,保健体育科の教師へのインタビューなどのフィールドワークを行い,4年間の研究の総まとめを行うつもりでいた。ところが,4月からの新型コロナウイルスの影響で,フィールドワークは全く行うことはできなかった。そのため,2019年度に収集した教師の実践記録のデータを整理して,結果として教師の思考の変容を取り出すことができた。この授業では,教師が当初描いていた子どもたちの様子と実際に授業が始まってからの子どもの姿にずれが生じることになった。そのため,教材のルールを変更したり,得点の付け方を変更して望むことにした。すると,全ての班が教師の意図に沿うように活動をはじめたが,さらに新たな問題が起こることになった。この実践と教師の思考について,活動システムモデルを用いて,整理したところ,以下の知見が得られた。当初は,教師と子どものずれ(矛盾)は,教師の上手くなってほしいという願いと,子どもたちの競技で勝ちたいというずれ(矛盾)となってあらわれたのだが,ルールを変更することでその矛盾は解消されることになった。このとき教師のナラティヴは,教師の上手くなってほしいという願いを叶えるためには,競技の得点の形式に加えて,上手くなるそのことを得点化して競うことが必要だというものに変化した。しかし,さらなる問題に直面することで,上手くなる質の規定の仕方の甘さを実感することになり,さらなるナラティヴの変容が見られることになった。ただし,この最後のナラティヴの変容は,実践が終わった後の変容であり,次回の実践での再確認が望まれるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は研究の最終年度であり,研究が進まなかったという意味では,遅れが生じたと言える。しかしながら,研究期間を延長したため,その分の遅れは十分に取り戻せると思われるため,(2)おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,フィールドワークに出ることが難しかったが,Zoomによる会議などでの録音機能を利用することで,データ収集が可能になる。そのため,あくまでも対面を追究するが,状況によってはオンラインでのフィールドワークを実施することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響によって,フィールドワーク,学会参加などの交通費や宿泊費がかからずに,計画そのものも進まず,期間を延長して2021年度に使用することとした。
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