研究課題/領域番号 |
17K01655
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
塩澤 成弘 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30411250)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 水泳 / 心拍数計測 / 運動指導 / 運動強度管理 |
研究実績の概要 |
水泳/水中運動中の心電図計測とそれらから得られる情報は、トレーニング強度やその効果を管理、または評価するために非常に有用である。そこで、本研究では、“着るだけ”で心電図が計測でき、本人/周囲の人に状態を知らせることができるスマートスイムウエアを実現し、本ウエアで計測した心拍数から算出した運動強度をユーザーやその指導者に知らせる水中運動中リアルタイム指導システムを開発する。 上記の本研究の最終目標達成のために平成30年度は主にスマートウエア用心電アンプ/トランスミッタの開発を行った。具体的には、スマートスイムウエアの電極/配線から心電図が導出でき、Bluetoothを用いてスマートフォンやタブレッドなどにその情報を送信できる心電アンプ/トランスミッタの開発を行った。Bluetoothが用いている周波数帯の電波は水に吸収されやすいことが知られているため、実際にプールで使用可能かどうかについても検証を行い、送信可能であることを確認した。 また、水泳・水中運動リアルタイム指導システムの開発のためのソフトウェアの基本設計も開始し、基本ソフトウェアの試作を行った。基本システムでは、プールサイドで受信した心拍数データをプールサイドに置いたタブレット画面にて本人もしくは指導者などの周囲の人に伝えることができるシステムが完成した。 さらに水泳時のユーザーの心拍数を測定するためのスマートスイムウェアに関しても改良を行った。これまで男性に関しては、水中で上着タイプの水着を着用することを想定していたが、男性用の水着のみでも心拍数が計測できるものを開発した。 研究成果については国際会議(the World Congress on Medical Physics and Biomedical Engineering 2018 (WC2018))にて発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目である平成30年度は「水泳・水中運動リアルタイム指導システムの開発」として主にスマートウエア用心電アンプ/トランスミッタの開発、データ無線送信に関する検証、ハードウェアの基本設計を行うことを目標としていた。 心電アンプに関しては、これまで開発してきた生体計測用のアンプを基に水中の心電図に合わせた回路の調整が必要である。心電アンプについてはプールにて検証実験を行いながら回路の開発を行った。結果、水中において心電図振幅の減少がみられたものの増幅率を調整することで心拍数を算出できることが確認できた。トランスミッタに関しても検証実験を行い、プール内からプールサイドにデータが送信できることが確認できた。ハードウェアに関しては、基本設計の完了を目標としていたが、当初予定を前倒しすることができ、検証用の試作モデルを完成させることができた。 また、上記の検証を行う過程で検証用のソフトウェアの開発を行ったが、本ソフトウェアは心拍数のフィードバックも行うことができるため、今後開発するシステムの基本ソフトウェアとして活用できる。 一方、平成30年度には開発デバイスに関する防水性能の向上も目標に挙げていた。防水に関しては、検証実験の結果、開発ケースに浸水がみられた。ただし、浸水箇所を明らかにできているため、次年度に開発する予定である検証実験用デバイスの設計時に有用な結果を得ることができた。 上記より、一部当初計画より遅れているところがあるものの、計画を前倒しできるている部分があるため、おおむね順調に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度となり、本研究の最終目的であるシステムの完成とその検証実験を行う予定としている。現在までおおむね計画通りに進展しているため、基本的には最終年度も計画通りに進める。ただし、デバイスの防水に関しては再度検討/検証を行う必要があるため、次年度の冒頭に行う。 また現在のところ、ユーザーや指導者に対しては音によるフィードバックを検討しているが、最適なフィードバック方法に関しても検討する必要があると考えている。これまでの取り組みを通じて、プール環境によっては騒音が大きく音を識別することが難しい可能性があることがわかっている。フィードバック方法に関しては音を基本にしつつ、他のフィードバック方法に関しても探索を行う。システムに関してもフィードバック方法に関しては、柔軟に変更ができるように開発を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の計画を進めるために心電アンプとトランスミッタの部品を新規に購入し、検証用のシステムを構築し、さらにそれらの部品は令和元年度に開発するデバイスの部品として活用する予定であった。ただし平成30年度は研究室で既に所有していたデバイスの部品が活用できたため、検証実験にはそれらを使用したため次年度使用額が生じた。ただし、次年度で開発するシステム用には当該部品が必要なため、令和元年度にそれらの部品費用として使用する。
|