研究課題/領域番号 |
17K01660
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐賀野 健 呉工業高等専門学校, 人文社会系分野, 教授 (80311075)
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研究分担者 |
荒木 祥一 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 教授 (50321477)
丸山 啓史 呉工業高等専門学校, 人文社会系分野, 准教授 (70708651)
柴山 慧 広島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50735652)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 保健体育科教育 / 高等専門学校 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、全国の高等専門学校(以下、高専とする)において保健体育の授業がどのように実施されているのか、授業カリキュラム、授業形態、教育内容について、またこれまでの保健体育科の教育成果について明らかにし、高専の特色を生かした保健体育カリキュラムの開発およびモデルを創出することであった。 これまでは高専における保健体育のうち、体育に関して研究を進めてきたが、令和2年度は、全国の国立高専を対象として、保健授業の現状と課題を明らかにすることを目的とし、各高専の保健授業に関するシラバスを分析した。方法としては、インターネット上で公開されている高専webシラバスを参照し、保健授業に関連する資料を収集した。まず、保健授業について、「保健」という名称の下に授業を実施している高専は、19.5%であった。それ以外の大半の高専では「保健体育」等の授業名称の下に、体育実技と関連して授業を実施していることが分かった。また、高校と比べた場合、大半の高専において、保健に関する学習量が不足していることが推察された。学習内容については大半の高専では、高校で使用されている教科書を用いた授業を実施していた。しかしながら、いくつかの高専では、「スポーツ生理学」や「バイオメカニクス」、「スポーツ心理学」等の体育やスポーツに関する、より専門的な学習が行われていることが分かった。 また、これまでに得られた知見をもとに、高専の特色を生かした創造性を育成する体育授業を実践し、その成果を分析、考察した。本授業実践での創造性育成場面に注目すると、これまでの体育授業における創造性教育についての先行研究と同様の結果を得られただけでなく,道具の活用という、ある意味で高専の体育授業という特色を生かした創造性教育の可能性について示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、全国の高専体育教員が実践してきた保健体育授業に関する文献精査を行った。また、特徴的な保健体育授業の実践や高校や大学とは異なる高専教員に必要な能力に関して調査用紙を作成し、全国の高専に所属する保健体育教員を対象にアンケートを実施し、統計的な分析や結果の考察を完了した。 令和2年度は全国の国立高専を対象として、保健授業の現状と課題を明らかにすることを目的とし、各高専の保健授業に関するシラバスを分析した。また高専の特色を生かした創造性を育成する体育授業を実践し、その成果の分析を完了した。ただ、特徴的な保健体育授業を実践している高専への実地調査を予定していたが、新型コロナの全国的な蔓延による県外移動の制限により出張がキャンセルになり、令和3年度にその予定が変更になったため、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の前半までに、全国高専へのアンケート結果から得られた特徴的な教育実践を行っている高専への実地調査を行い、事例的な分析をする予定である。実地調査の対象となる高専は、すでにピックアップできているので、新型コロナの状況を見つつ、研究代表者と研究分担者で連絡調整し、出張をする予定である。また、新入生や5年生を対象とした運動経験や体育の学習内容、体育教員へのイメージ等に関する調査も予定している。そして、令和3年度の後半に、これまでの研究成果をまとめ、高専独自の特色ある保健体育カリキュラムモデルの創出を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度において特徴的な保健体育授業の実践を行っている高専への実地調査を予定しており、研究代表者、共同研究者や連携研究者の国内旅費を主に計上していたが、新型コロナの全国的な蔓延等の影響により研究計画が修正となったため、次年度使用が生じた次第である。令和3年度の前半に実地調査のための出張を行い、後半では論文作成や学会発表のための研究打ち合わせや研究資料収集のための旅費、報告書作成等に使用する予定である。
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