研究実績の概要 |
研究計画書に記載の通り、海外の研究者との協力体制のもとで、以下の論文を国際学会にて公表した。①"A Diplomat in Japan, Sir Ernest Mason Satow and Modern Mountaineering in the late Nineteenth Century Japan", The 20th ISHPES: International Society for the History of Physical Education and Sport, Madrid, July 17th, 2019.
上記は英国人が黎明期の山岳スポーツの開拓に果たした役割について論じたものであり、日本アルプスの名称の定着が、アーネスト・サトウによる英国での講演を通じて、普及したものであることを同時代史料から指摘した。さらに、サトウの次男で北大でも教えた武田久吉の言からその関係性に踏み込んだ。サトウの功績は山岳スポーツへの貢献のみにとどまらない。英国人は山岳スポーツを通して、気象学、地理学、植物学、言語学、歴史学に貢献し、その成果を世界に発信した。帝国主義的な西欧技術の往来が世紀転換期のスポーツを含むあらたな広義の文化に影響しただけでなく、双方向で日本の慣習文化が西欧社会に翻訳されたことを示している。トランスナショナルな歴史の具体像は、こうした山岳スポーツを通じた事例研究を深めることで一層明晰になると論じた。
この他にも下記を含むいくつかの単著論文を公表した。“Women and Physical Culture in Japanese History) The Routledge Companion to Gender and Japanese Culture edited by Mark Pendleton, Jennifer Coates and Lucy Fraser, December,(ISBN: 9781138895201) (世紀転換期の身体文化と女性について、英国とのトランスナショナルな関係性を概説。
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