研究課題/領域番号 |
17K01663
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
渡邉 信晃 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (80360733)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | スプリント走 / 準高地 / 速度変化 / 血中乳酸濃度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、準高地(標高1,000m程度)における空気抵抗低減がスプリント走パフォーマンスをアシストするかについて、最大スピードとスピード持続に焦点を当て、バイオメカニクス、生理学および心理学的観点から多面的に検討することである。最大スピードについては、準高地と低地における100m全力疾走時の速度、ストライド、ピッチおよび主観について比較し、スピード持続については、準高地と低地における300m全力疾走と最大下疾走(低地での300m全力疾走をもとに80%の走速度を算出し、その走速度から算出した300m走タイムに設定)におけるタイム、血中乳酸濃度、速度、ストライド、ピッチおよび主観について比較した。今年度は両課題についてより多くのデータから分析するために、追加実験を行い、300m走の結果を中心に分析を行った。その結果、準高地と低地の300m全力疾走においては疾走タイム、血中乳酸濃度および主観について有意な違いは認められなかった。しかしながら、300m走中の速度変化については、準高地の方が低地と比較して前半に有意に高い速度が発揮される分、後半の失速も有意に大きくなり、このことについて前半は高いピッチが、後半は小さいストライドが要因となっていることが明らかとなった。また、全力疾走のタイムと血中乳酸濃度との相関関係について、準高地では有意な正の相関関係が認められたが、低地では認められず、パフォーマンスと乳酸産生との関係について標高の影響に個人差が生じる可能性が推察された。さらに、最大下同一速度で疾走した場合、血中乳酸濃度は準高地において低い傾向を示し、実際の疾走における速度などの特性と生理学的特性について、さらに検討を進める必要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた規模での実験を行い、全体的には概ね順調に進展しているが、より多くのデータから詳細に分析できるよう、研究期間を延長した。
|
今後の研究の推進方策 |
追加実験と、これまでのデータのより詳細な分析を通して検討を進め、学会発表、論文執筆へとつなげていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも実験・分析に生じる人件費が抑制できたこと、出張を予定していた2つの学会の旅費について、学務および中止によって使用できなかった。そのため、次年度の追加実験およびデータ分析に必要となる人件費、物品費および学会出張の旅費として使用する予定である。
|