本年度は、身体運動中、特にスプリント走における体幹の役割について、モーションキャプチャとフォースプレートを用い、逆ダイナミクスによる実験的解析において、そのメカニズムを検討した。具体的には、スプリントスピードを5段階(3.0、4.5、6.0、7.5m/s、最大)に変えた場合の、骨盤と股関節の3次元トルクと機械的仕事について解析した。その結果、スプリント走中の腰仙関節の軸回転トルクは、特に高いスピートで顕著であった(0.33~1.96Nm/kg)。その軸回転トルクは、屈曲・伸展トルクよりも大きかった。これに対して、腰仙関節の屈曲・伸展トルクはスピードが増加しても、ほぼ一定の値を示した。この傾向は、関節トルクだけでなく、関節における機械的仕事でも同様であった。 本研究により、スプリント走におけるスピード変化に対応する、体幹の腰仙関節の役割が明らかになった。
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