研究実績の概要 |
平成30年度は、(1)資料に関する追加調査および新たな資料の収集、分析に取り組むとともに、(2)これまでに収集した資料の分析を組み込んだ武道史に関する包括的な歴史像について海外での学会で報告し、著書や論文でも発表した。 (1)については、警察における武道実践および各武道道場や個人レベルでの武道実践に関する資料の収集、整理、分析に重点を置いて取り組んだ。主なものは、各府県の警察史、各府県市町村の武道史、連盟史、道場史、武道雑誌などに掲載された関係者の証言や回想録等であり、その結果、これまで存在しないとされてきた米軍キャンプ慰問時に撮影したと思われる写真や剣道の復活に対する国内的な批判や反発の存在についても確認することができた。なお、予定していた米国国立公文書館所蔵の地方軍政府報告書については、事前調査の結果、基地ごとに作成された報告書のひとつひとつから、米軍の慰問用の「芸能」の中の武道を抽出することに膨大な時間を要し、予定していた調査期間で作業を完了することが不可能であることが判明したため、調査を取りやめた。 (2)については、①'The Nationalization of the Body in Martial Arts: A Case of Postwar Japan', The Annual Conference of the Martial Arts Section of the German Society of Sport Science, Ghent University, 15th November 2018、②「日本――スポーツと武術/武道の150年」、坂上康博・中房敏朗・石井昌幸・高嶋航編、『スポーツの世界史』一色出版、2018年、③'The Historical Creation of Kendo’s Self-Image from 1895 to 1942:A Critical Analysis of an Invented Tradition', Martial Arts Studies, 6, 2018. DOI: http://doi.org/10.18573/mas.66、で報告ならびに発表した。
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