研究課題/領域番号 |
17K01680
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
中村 和照 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 准教授 (10613292)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 上昇区間 / 下降区間 / レースパフォーマンス |
研究実績の概要 |
2017年度は,8月,12月のトレイルランニングレースの参加者を対象にアンケート調査を行ない,出場種目およびトレイルランニングレースの入賞経験の有無の違いによって,トレーニング歴および内容,年間のトレイルレース出場数,ペース戦略の有無および内容に差が認められるかを検討した. 8月のレースでは,出場種目(72 km,48 km,25 km)の違いによって,トレイルランニング歴(4.4±4.1,3.3±3.6,2.4±2.9年),1年間のトレイルレース出場数(3.6±2.6,2.4±2.0,1.7±1.9回),トレイル以外の週間走行距離(41.7±33.4,35.3±21.3,30.2±22.6 km),トレイルの週間走行距離(10.8±13.4,6.4±10.0,4.4±7.3 km)に有意差(p < 0.05)が認められた.また,レース時にペース戦略が有と回答した割合にも有意差(53.3,46.2,28.1 %;p < 0.01)が認められ,心拍を指標としている者の割合(23.5,21.3,5.9 %;p = 0.08)は走行距離が長い種目の参加者で多くなる傾向があった.入賞経験の有群と無群の比較では,ランニング歴(10.8±8.1,8.6±7.4年),トレイルランニング歴(5.1±4.5,3.2±3.5年),1年間のトレイルレース出場数(4.1±1.8,3.1±1.6回),トレイル以外の走行距離(52.4±43.6,33.1±21.6 km),トレイルの走行距離(14.0±16.6,6.3±9.3 km)の全ての項目で有意差(p < 0.05)が認められた.レース時にペース戦略が有と回答した割合(70.5,38.8 %;p < 0.01)にも有意差が認められたが,心拍を指標としている者の割合には群間で差は認められなかった(p = 0.31).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は,調査を行なった2レースとも全ての種目で定員よりも少ないエントリー者数となったため,調査人数は当初の予定よりも少なくなった.エントリー者数に対する調査票の回収率は,8月62.8 %(調査票回収数/エントリー者数,434/691),12月43.1 %(調査票回収数/エントリー者数,396/918)となり,研究計画の段階で想定していた40~50 %の回収率を達成することが出来た.このことから,2017年度の調査については,予定して内容をほぼ達成することが出来たと考えられる. 8月の調査結果から,走行距離が長い種目の参加者は,レース前のトレイルでのトレーニング量を確保することが出来ており,事前のペース戦略を考える者も多くなっていると考えられた.また,心拍を指標とする者の割合も走行距離が長くなる種目で多くなる傾向があったことから,走行距離が長くなるに伴い,心拍計を活用する者の割合も多くなると考えられた.入賞経験の有無についても,入賞経験有群の方が,レース前のトレイルでのトレーニング量を確保することが出来ており,事前のペース戦略を考える者も多くなっていると考えられた.心拍の活用状況については,走行距離の違いと異なり,入賞経験の有無による差は認められなかった.今回の群分けは全種目まとめて分析していることから,走行距離が短い種目で心拍を指標とする者が少ないことが結果に影響した可能性も考えられる.今後は12月の調査結果と合わせて分析を行なう予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は,走行距離,累積標高差が異なるトレイルレースに参加する者(1レース16~20名)を対象に,レース時の1秒毎の心拍数,水平移動距離,垂直移動距離をGPS機能,高度計を備えた心拍計で測定し,レース毎に走行時の心拍数を上昇区間・下降区間に分けて解析し,競技レベルと傾斜変化に対する心拍数の変動幅の関係性について明らかにする.得られた結果から,レース時の傾斜変化に対する心拍数の変動幅を小さくすることがパフォーマンスの向上およびオーバーペースの防止につながるかを検討し,対象者の特性に応じた心拍数を用いた上昇区間と下降区間の相対強度の目安を検討する.当初の研究計画では,2レースを対象レースとしていたが,レース時のデータ欠損の可能性を想定し,対象レースを3~4レースに増やし調査を行なう予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度の調査は,大会要項の定員数を基準に調査協力者への謝礼品の予算を確保していたが,調査を行なった2レースともエントリー者が定員に達しなかったため,次年度使用額が生じた. 2018年度のレースでの測定は,研究計画の段階では2レースの予定であったが,3~4レースに増やして測定を実施する予定である.2017年度に生じた次年度使用額は,対象レースを増やすことによって必要となる物品費,謝金に使用する予定である.
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