研究課題/領域番号 |
17K01680
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
中村 和照 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 准教授 (10613292)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 上昇区間 / 下降区間 / パフォーマンス |
研究実績の概要 |
2018年度は,トレイルレース時の上昇区間と下降区間の心拍数の推移の相違について明らかにすることを目的に,4月(49 km,16名),10月(24 km,13名)のレース参加者を対象にレース時の心拍数の測定を行なった.4月のレースでは,コースの誘導ミスがあり,対象者間の走行距離が異なったため,心拍数は10月のレースのみで分析した.10月のレースは,2名の心拍データにノイズが認められたため,11名のデータを用い,上昇区間と下降区間の心拍数の相違について検討した.また,レース全区間の平均心拍数に対する上昇区間および下降区間の平均心拍数の相対強度について,レース全体,前半,後半の相関関係についても検討した. レース全体,前半および後半ともに上昇区間に対し,下降区間の心拍数が有意に低くなり(p < 0.05),上昇区間,下降区間ともに前半より後半の心拍数が低下する傾向が認められた(p < 0.10).レース全体では,上昇区間の相対強度と下降区間の相対強度に有意な負の相関関係が認められた(r = -0.943,p < 0.05).前半,後半に分けた場合には,前半の上昇区間の相対強度と後半の下降区間の相対強度に有意な負の相関関係が認められ(r = -0.756,p < 0.05),前半の下降区間の相対強度と後半の上昇区間の相対強度に有意な負の相関関係が認められた(r = -0.923,p < 0.05).一方,前半・後半の上昇区間と下降区間,上昇区間・下降区間の前半と後半の相対強度には有意な相関関係は認められなかった.これらの結果から,トレイルレースでは,上昇区間に比べて下降区間の強度が低くなり,レース前半の上昇区間でのオーバーペースはレース後半の下降区間の相対強度の低下,レース前半の下降区間でのオーバーペースはレース後半の上昇区間の相対強度の低下につながる可能性が推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は,4月のレースでコースの誘導ミスがあったため,心拍数の分析は1大会のみとなり,レース距離での比較を行なうことが出来なかった.また,10月の調査でも2名の心拍数のデータが欠損したため,分析対象が11名のみとなった.このことから,研究全体の計画としては,「やや遅れている」と言える. 一方,2017年度のアンケート調査結果で明らかに出来なかった点を12月のトレイルレースで追加調査を行ない,4月,10月の調査結果からトレイルレースでの給水および脱水の特徴についても検討を進めることが出来た.これらの検討事項については,当初の研究目的以外の内容となるが,安全にトレイルレースに参加するためのトレーニング方法,レース時の給水方法を提案できる可能性が考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は,2018年度の10月(24 km)とレース距離,累積標高差が異なるレースを対象にレース時の心拍数の測定を行ない,レース距離,累積標高差の違いが上昇区間と下降区間の心拍数の推移に与える影響について検討を行なう.また,ロードレースとトレイルレースでの心拍数の測定を行ない,トレイルランニング歴,トレイルでの練習量とロードレースに対するトレイルレースの心拍数の相対強度,上昇区間・下降区間の心拍数の相対強度との関係性について分析し,トレイルでの練習状況に応じたトレイルレースでの心拍数を用いたペース指標の検討を行なう.
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の1レース当たりの測定人数が予定よりも少ない人数となったため,研究協力者への謝金が次年度使用額となった.次年度使用額については,2019年度の調査対象レースを追加する予定であるため,追加したレースでの研究協力者への謝金として使用する予定である.
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