研究課題/領域番号 |
17K01683
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
工藤 大介 順天堂大学, 医学部, 助教 (50348950)
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研究分担者 |
内田 雄介 名城大学, 理工学部, 准教授 (00508252)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 水平方向動体視力 / 精密眼球運動 / 視機能トレーニング / 動体視力 |
研究実績の概要 |
目的;水平方向動体視力(Dynamic Visual Acuity; DVA)と眼球運動の間には密接な関連がある。現在までにDVA測定の際の視標の速度、視標の移動方向による眼球運動の変化について実験により明らかにしてきた。これを更に発展させ、年齢、性別、競技種目による差異を明らかにする。 対象、方法;健康成人のみを対象して測定した。DVAと同時に眼球運動を計測した。DVAの能力は、被験者の眼前を横切るランドルト環の切れ目の方向の回答正解率(%)で評価した。眼球運動の評価は、視標出現からの眼球運動開始時間、眼球と視標位置の差(エラー)、saccade最大速度とした。視標速度は200,300,400, 500, 600 (deg/sec) の5条件とした。視標の出現方向を左から右、右から左の2パターンとし、視標の回転方向による眼球運動の変化についても検討した。 結果;視標速度の上昇に伴いDVAの能力は有意に低下した(p<0.001; One-way repeated measures ANOVA)。視標速度の変化における眼球運動の評価においては、視標速度の上昇に伴い、眼球運動の開始時間の短縮(p<0.05)、エラーの増加(p<0.001)、最大速度の増加(p<0.001)が認められた。視標速度の上昇に伴いエラーは急激に増加した。また、 眼球運動の開始時間は300deg/sec近辺で頭打ちとなった。視標の回転方向の変化による眼球運動の変化も認められた。 結論;視標速度の上昇に伴うDVAの能力の低下、眼球運動の変化を確認することができた。視標の回転方向に伴う眼球運動の変化も確認できた。今後これらの変化を基に、年齢、性別、競技種目別の差異について統計的に明らかにする。それにより眼球運動と動体視力との関連が更に詳細に明らかになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験系が既に整備されている状況で、従来実施していた眼球運動と動体視力に関する実験を速やかに実施できている。順次被験者を募集し、運動経験に係わらず健康な被験者で、予定していたDVAと眼球運動に関する実験を行った。 得られた結果を自作のソフトウェアで解析し、内容の分析を行った。実験に関しては、当初の計画通りに遂行することができた。 眼球運動の各成分と、実際のDVA能力との関連は、各成分毎の細かい変化に加え、視標の速度にバリエーションを持たせることで、視標速度と眼球運動成分、およびDVAの能力との関連性も調べることができた。しかし、従前から続くコロナによる緊急事態宣言下の影響で、当初計画していた測定の実施に関しては予定通りに出来ていない部分もある。今年に入り、新型コロナウィルスのオミクロン株への移行に伴い、感染による行動制限が緩和されており、実験の再開と新規実験の計画、実施が可能となりそうな状況であり、本研究の更なる新店が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
実験系に関しては、当初の計画通りに設計出来、測定も順調に行うことが出来ている。被験者のバリエーションに関しては、学生の被験者に関しては予定通り に集めることができ、測定も行えているが、学生以外の被験者(40代など、高い年齢層の被験者)及び女性の被験者に関しては、コロナによる社会活動制限によ り、当初の予定通りには測定できていない。本年度はこの点の調整を行う予定で年初から準備を進めていたが、コロナ感染の拡大継続、再度の緊急事態宣言発令 により、現在も実験計画が保留となっている。しかし、新型コロナウィルスのオミクロン株への移行に伴う感染収束傾向で、行動制限の解除から、新規実験が可能となりそうな状況になりつつあり、現時点で新規実験の準備を開始している。 測定内容については、初年度に得られた結果を踏まえ、当初に計画した項目に加え、さらに追加できる項目、内容があるか検討する予定であるコロナによる実験制限も2年に及ぶため、感染の状況次第では実験計画の部分的な改訂も考慮すべきか検討中であったが、オミクロン株への移行に伴い行動制限が解除されており、可能な限り当初の計画通り実験を進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大による行動制限のため、予定していた被験者を用いての新規実験が実施できなかったため。今年度は、新型コロナウィルスのオミクロン株への移行により行動制限が解除される可能性が高く、新規実験を行い必要予算を使用する予定である。
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