研究課題/領域番号 |
17K01686
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
武田 大輔 東海大学, 体育学部, 准教授 (10375470)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スポーツカウンセリング / アスリート / 身体 / 内的成熟 |
研究実績の概要 |
アスリート(以下,Ath)への心理的支援であるスポーツカウンセリング(以下,SpC)は実践を通じた研究が積み重ねられ,Athの競技力向上や心理的成熟に対して彼らの“身体に関する語り”,特に Ath自身が“主体的な実感として獲得している身体(以下,主体的身体)”の重要性が指摘されている.次の課題は継続的なSpCによるAthの主体的身体の質的変化と競技力を含むAthとしての成熟との関係を明らかにすることである.本研究では,トップレベルのAthのSpC過程の資料を用い,主体的身体に対する“語りの質的変化”を追い,それらと内的課題と競技力向上との関係について臨床学的視点から明らかにし,SpCによるAthの成熟プロセスを明らかにする. 29年度は,心理サポートの資料を事例検討を行うことで,多角的に分析した.スポーツ現場での実践や研究実績のある連帯研究者を含む4名での事例検討会を4回実施し,また臨床心理士による事例に対する専門的情報提供を受けた.ここでの主な指摘は以下である.自我レベルで克服できない内的課題に対して何らかの身体症状が表れることは一般的に指摘されるが,Athの場合はパフォーマンスの崩れなどに表現されるとされてきた.これらについては,本研究での事例検討でも確認できた.またプレースタイルの変容と内的成熟の動機についても確認できた.さらに,仮説モデルで示した物理的身体と主体的身体の質的変容が独自性となる可能性を導いた.これについて次年度で深めていくこととした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね研究計画で示したスケジュールで実施できた.また,事例検討では次年度の課題が明確にできた.一方で,本務校の業務のために,予定していた学会への参加と拡大事例検討会が実施できず,貴重な情報を得る機会が減ってしまった.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には,29年度で実施した事例検討を中心に活動を行う.モデルの精緻化のために,事例の資料作りにおいても,工夫を重ねていく.実施時期・回数は事例検討会(6,8,10,2月),拡大事例検討会(12月),専門知識提供(8月,3月)を予定している.また,引き続き心理サポートに関する情報を得るために,国内・国際学会への参加を予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会に一部参加できなかったため,旅費,参加費の執行ができなかった.また,年度当初は,業務補助者がいなかったため,謝金を執行しなかったこと,以上が理由である. 次年度は,次年度は本研究テーマに関連する国際学会が2つあるため,主にここでの参加費や旅費にあてる予定である.
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