研究課題/領域番号 |
17K01687
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
北林 保 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 准教授 (30381693)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 各方向別連続ジャンプテスト / 伸張-短縮サイクル(SSC) / 最大発揮(100%) / 主観的相対発揮(50%) |
研究実績の概要 |
2019年度の検討課題は「有効な瞬発力テスト(ジャンプテスト)の検証」であった。 概要として、2017年度、2018年度で得られた結果を参考に、実際の競技選手の動作分析を行い、有効となる指標を検証することであった。 運動部に所属していない一般男子大学生とバスケットボール部(競技歴5年以上)の男子大学生を対象に、Kinect2(Microsoft社)を用い3Dデータで測定される連続方向別ジャンプテスト(上上・上前・上後)を最大発揮 (100%)と主観的相対発揮 (50%)の両発揮方法から測定し、伸張-短縮サイクル(SSC)を伴う瞬発力テスト及び調整力テストとしての有効性について検討を行った。まず跳躍の調節に関わる要因を明らかにするため、跳躍距離と最高点の高さの関係について検討した結果、最大発揮(100%)における水平到達距離(跳躍距離)と跳躍時の最高点の高さの相関係数は、前方向で、有意な相関係数が認められ、後方向では、認められなかった。相対発揮(50%)においても同様な結果が確認された。また、跳躍距離と接地時間の観点から、各方向間の接地時間の差を検討した結果、「最大発揮」の場合、方向間の接地時間に有意差が認められ、連続垂直跳びの上上跳の接地時間が、垂直跳びの着地後すぐに前に跳ぶ上前跳、同様に着地後すぐに後ろに跳ぶ上後跳よりも有意に接地時間が短いことが確認された。また、「主観的相対発揮」の場合では、いずれの方向においても有意差は認められなかった。更に、競技特性を確認するため、群間比較を行った結果、両群で調整発揮(主観的相対発揮)のしやすい方向が異なることが確認され、連続測定(最大発揮の初動運動有り)を行うことにより、正確な調整能力及び競技特性の評価が可能であることが確認された。 これら研究成果は、国際学会、国内学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の検討課題は概ね順調に処理し、連続方向別ジャンプ動作テストを用いて、伸張-短縮サイクル(SSC)に着目し、最大発揮 (100%)と主観的相対発揮 (50%)の測定から、有効な瞬発力テスト及び調整力評価テストとしての基礎的検証が行え、新たな瞬発力もしくは調整力の評価テストとしての問題点も明確にすることができた。 次年度以降の検討課題についても適切に処理できるよう準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の検討課題は「有効な瞬発力及び調整力テスト(各方向別連続ジャンプテスト)の提案」である。一般大学生群と跳躍系スポーツ選手群を対象に、動作分析から各スポーツ選手のジャンプ動作の特徴を更に分析し、ジャンプ動作中のアライメント評価を定量化し、有効となる指標を検証していくこと、また、現場での実施可能性を確認し、定量的且つ簡便な測定システムを検証し、一般化に向けた基準値等の検討も行う予定である。 これまでの結果も踏まえ、有効な瞬発力及び調整力テスト方法(各方向別連続ジャンプテスト)を確立できるよう更にシステムの改善や評価変数についても継続して検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は物品購入を行わず、研究成果の発表を主に行ったためである。 2020年度も研究成果の発表を主に行う予定であるが、これまで得られた結果をもとに、測定システムの見直しや再構築も検討課題としており、測定システムに必要な備品や消耗品を更に購入し、システムの改善を進めながら、研究課題を遂行しいていく予定である。
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