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2017 年度 実施状況報告書

女性アスリートのトレーナビリティに関する研究-三主徴の原因究明を狙いとして-

研究課題

研究課題/領域番号 17K01690
研究機関日本体育大学

研究代表者

黄 仁官  日本体育大学, 体育学部, 准教授 (30453939)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード女性アスリート / 三主徴 / 月経周期 / 骨密度 / 遺伝子多型 / 身体能力
研究実績の概要

研究採択以後、女性アスリートの三主徴の原因究明を狙いに、各説明会を通じて長期間の被験者協力の得られた8競技種目の女子競技者計140名を対象に、月経状況等の基本情報を毎日モニタリングと半年に一度実施する基礎体力及び骨密度(全身、腰椎、大腿頸部)の測定を実施している(2017年12月~2018年1月に開始2回目の計測終了、現在は3日目の計測を2018年6月~7月にかけて実施予定)。尚、2回目の測定時に骨代謝関連遺伝子(ESR1多型、VDR-Bsm1多型、α-ACTN3;R577X多型)の解析のためのサンプリングと各遺伝子の多型解析を実施及び一部終了した。現在まで得られたデータより、女性アスリートにおける月経周期の違いが骨密度にどのような影響を及ぼすかを明確にする為、月経周期を幾つかに分類し骨密度との差異を検討した結果、月経周期が長期になるほど骨密度の低値を示す結果と、月経周期異常とみられる対象者の骨密度と骨代謝関連遺伝子との関連の可能性がみられ、女子アスリートの長期月経周期は骨疾患の誘発を進行させる可能性や、その影響をより受けやすいか否かの遺伝的要因の関連の可能性を示す結果が得られた。しかし、遺伝子的観点を含めて研究結果の信頼性を高める必要もあり、2018年度には引き続き対象者の増員を含めて計測と検討することに努める。尚、初年度の成果発表を以下で発表することが決定している。
1.女性アスリートにおける月経周期の違いと骨密度との関連性(第25回日本運動・スポーツ科学学会、広島、2018年6月16-17日
2.女性アスリートにおける月経周期の違いが骨密度と体組成及び身体能力に及ぼす影響(第73回日本体力医学会大会、福井、2018年9月7-9日)
3.月経周期異常の女性アスリートにおける骨密度とビタミンD受容体遺伝子多型との関連性(第73回日本体力医学会大会、福井、2018年9月7-9日)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の最大の狙いは、女性アスリートにおいて月経周期の異常から最終的に骨疾患(疲労骨折及び骨粗鬆症)を誘発するリスクとなるかについて臨床的調査(月経周期の状況を詳細にモニタリング⇒対象者を月経周期の期間別に分類⇒骨密度の差異を検討)から確認し、女性アスリートの月経周期の長期化が骨密度の低下に繋がり骨疾患を誘発するリスクとなることについて提案する根拠づくりにある。さらには、女性アスリートの月経周期の異常は運動・トレーニングによるストレスから一般女性と比べて高いことは現場的思考から今後も課題となることが考えられる。従って、本研究の月経周期の長期化や異常をきたしている女性アスリートを中心に、骨代謝関連遺伝子を解析して骨密度の差異があるかについて検討を加え、日頃の運動・トレーニングによる月経周期異常の中でも骨に対し遺伝的因子により悪い影響を受けやすいか否かを明らかにさせ、女性アスリートの骨疾患に対するリスクのトレーナービリディを構築し、競技現場における選手管理やコンディショニング調整の一指標として提供することである。
先ずは、初年度に計画していたすべての調査と測定を実施、現在も縦断的調査を遂行中であり、現在までの短期間(6~8か月)のデータではあるが、少なからず当初のこれまでの背景から仮説を立てた狙い通りの傾向がみられる結果が得られた「現在の主な結果:女性アスリートの月経周期の長期化は骨密度の低値を示すこと、そして月経周期異常とみられる女性アスリートのビタミンD受容体遺伝子多型間で骨密度の違いがある可能性がみられた」。
以上の現時点での研究結果を2018年6~9月の専門学会にてそれぞれ発表し、年度内には論文としてまとめ投稿する予定であり、今後は2年目の実験・調査結果を加えてより詳細な科学的根拠づくりに繋げられるものと思われる。

今後の研究の推進方策

本研究は、女性アスリートにおいて月経周期の異常から最終的に骨疾患を誘発するリスクとなるかについて臨床的調査から確認し、月経周期の長期化が骨密度の低下に繋がり骨疾患を誘発するリスクとなることを提案するための根拠づくりにある。さらには、月経周期の長期化や異常をきたしている女性アスリートを中心に、骨代謝関連遺伝子を解析して骨密度の差異があるかについて検討を加え、日頃の運動・トレーニングによる月経周期異常の中でも骨に対し遺伝的因子により悪い影響を受けやすいか否かを明確に、女性アスリートの骨疾患に対するトレーナービリディの構築を狙いとして、大学に所属する各種競技に女子選手の対象にデータの収集・測定・解析することで検証する。現時点までの検証結果を2018年度の第25回日本運動・スポーツ科学学会及び第73回日本体力医学会において発表さらには論文として掲載することで、専門分野の研究者からの示唆を受けることが可能である。
一方、新たな課題も挙げられ、それは現在の対象者数(全データ確認可能人数108人)の不足点であり、最終的に研究結果の統計学的信頼性をさらに高める必要性が求められることから、現在2年目に入る時期(2018年6月)では新たに対象者の増員(100~130人以後1年間モニタリング対象)を決定した(現在、本研究協力者となっている競技現場の指導者を中心に新たな対象者の増員のお願いを済まし、増員予定の新たな対象者への研究参加への党委も得ている状況である)。従って、研究開始から1年となる3回目の定期測定期間(2018年6月~7月)において現対象者の継続的調査及び新対象者への調査と測定の実施準備・対応サポートスタッフの確保も終了し、2年目の新たな対象者増員を含む以後の研究遂行に支障のないことを確認済みである。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた対象者のうち、リタイヤ者が生じ、その分の謝金支払いから生じた差額である。次年度においては、対象者の追加増員も予定していることから、差額は次年度研究遂行時の対象者への謝金に関わる経費に充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 大学女子駅伝選手における年間を通じた月経時の ヘモグロビン値変動に関する検討2018

    • 著者名/発表者名
      黄仁官,別府健至,佐藤洋平,小林哲郎,上田大,金善淑,大西崇仁,松永修司,保科光作,久保山和彦
    • 雑誌名

      日本体育大学紀要

      巻: 印刷中 ページ: 201-206

    • 査読あり
  • [学会発表] 月経周期異常の女性アスリートにおける骨密度とビタミンD受容体遺伝子多型との関連性2018

    • 著者名/発表者名
      小林哲郎,村田由香里,津田博子,辻昇一,小嶋新太,森井大治,篠原秀典,金善淑,別府健至,上田大,久保山和彦,黄仁官
    • 学会等名
      日本体力医学会 第73回大会
  • [学会発表] 女性アスリートにおける月経周期の違いと骨密度との関連性2018

    • 著者名/発表者名
      黄仁官,小林哲郎,金善淑,別府健至,久保山和彦
    • 学会等名
      日本運動・スポーツ科学学会 第25回大会
  • [学会発表] 女性アスリートにおける月経周期の違いが骨密度と体組成及び身体能力に及ぼす影響2018

    • 著者名/発表者名
      黄仁官,小林哲郎,村田由香里,津田博子,辻昇一,小嶋新太,森井大治,篠原秀典,金善淑,別府健至,上田大,久保山和彦
    • 学会等名
      日本体力医学会 第73回大会
  • [学会発表] 大学女子駅伝選手における年間を通じた月経時のヘモグロビン値変動に関する検討2017

    • 著者名/発表者名
      黄仁官,別府健至,佐藤洋平,小林哲郎,上田大,金善淑,大西崇仁,久保山和彦
    • 学会等名
      日本体力医学会 第72回大会

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公開日: 2018-12-17  

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