本研究は、正常月経および月経異常の女性アスリートを対象に「持久性運動およびレジスタンス運動時の内分泌応答は、月経状態によって異なるか?」について検討し、月経状態が運動時の内分泌応答に与える影響を明らかとすることを目的とした。 対象者は、体育系大学在籍の女性アスリートを対象とした。月経状態に関するアンケート調査を実施し、正常月経群と月経異常群に群分けを行った。対象者は、現在クラブおよびサークルに加入し、週5日以上の運動習慣があり、経口避妊薬等の服用が半年以上ない者とした。 実験1では、持久性運動時の内分泌応答を観察するため、最大酸素摂取量測定を実施し、運動前、運動直後および運動30分後に採血を行い、エストロゲン、プロゲステロン、インスリン様成長因子(IGF-1)、コルチゾールを測定した。その結果、エストラジオール、IGF-1は、すべてのポイントにおいて正常月経群に比べて月経異常群で有意に低い値を示した(P<0.05)。 実験2では、レジスタンス運動(上肢3種目、下肢3種目、最大挙上重量の70‐80%、3セット)を実施し、運動前、運動直後および運動30分後に採血を行い、エストロゲン、プロゲステロン、IGF-1、コルチゾールを測定した。その結果、すべての項目において正常月経群と月経異常群に有意な差は認められなかった。 以上のことから、月経異常の女性アスリートは、持久性最大運動時の内分泌応答が低く、月経異常が長期間続いた場合にはトレーナビリティに影響を与える可能性が示唆された。
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