研究実績の概要 |
本研究では、最大反復回数(オールアウト)まで行う低負荷のレジスタンストレーニングが、速度を基準とした疲労まで行う低負荷のレジスタンストレーニング と比較して、短期的および長期的にどのような適応に影響を及ぼすのか検討した。 対象者27名は、週2回ベンチプレスを用いて8週間トレーニングを行なった。対象者は、低負荷でオールアウトまで行う群(LVoF: volitional failure, n=9)、低負荷で速度的疲労まで行う群(LVeF: velocity fatigue,n=8)、高負荷で行う群(HL: high-load,n=10)に無作為に分類した。トレーニング内容は、LVoF群は、最大挙上重量(1RM)の40%でオールアウトまでの回数、LVeF群は挙上速度が20%低下するまでの回数、HL群は80%1RM8回を各群3セット行なった。測定は筋力、筋肥大、持久力、パワーの評価をトレーニング前後で行った。3つの群の間でトレーニング量に差はなかった。LVoF群とLVeF群におけるレジスタンストレーニングによる適応は、急性反応である筋浮腫、乳酸の増加、長期的な適応である筋肥大や筋力向上は同様であった。しかし、LVoF群とLVeF群はHL群と比較して短期的な適応が高く、持久力向上は優れていたが筋力向上はHL群よりも低い値を示し、レジスタンストレーニング による筋機能の適応は異なった。これらの結果から、低負荷でオールアウトまで行うレーニングは、トレーニング量の等しい速度的疲労まで行うトレーニングと同様に、筋肥大を誘発することを示した。
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