研究課題/領域番号 |
17K01695
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
原田 宗彦 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (70189710)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域スポーツコミッション / アウター政策 / 経営事業体 |
研究実績の概要 |
スポーツ庁が発表した既存の地域スポーツコミッションに対し、①スポーツコミッションの設立経緯と創成過程(首長の影響、部局改変の影響、町内横断的な政策形成、先行事例の情報入手等)、②組織形態、③事業内容、④成果(経済的効果、社会的効果、環境的効果)に関するインタビュー調査を実施した。これによって、現在のスポーツコミッションの事業内容を把握するとともに、インナーの政策を包含するハイブリッド事業体への移行可能性を検証した。これまで、一般社団法人として新しいスタートを切った「さいたまスポーツコミッション」の他、「佐賀県スポーツコミッション」「札幌市グローバルスポーツコミッション」「新潟文化スポーツ今ミッション」を対象に、収入源とビジネス展開例に関するインタビュー調査を実施し、対象者の発言データの概念化を行った。具体的には、選ばれた自治体を対象に,インタビュー調査対象者の発言データを内容のまとまりごとに集め、分析ワークシートを作成した。質問項目は、①スポーツツーリストの誘客(スポーツイベント開催、合宿誘致、大会の誘致等)、②事業体の安定経営を担保するツーリストからの収入(合宿、キャンプ付帯サービス収入、イベント事業収入、合宿所・公共施設・廃校などの利用権を賃貸等で取得し活用する宿泊施設収入、物販収入)、③地域外の企業・団体(地域外)からの収入(ネーミングライツ、協賛金等)である。 最終年度は、量的研究として、スポーツ庁が公表している地域スポーツコミッションに対し、インターネットを利用したアンケート調査を実施し、組織概要と組織目標等の情報を入手する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スポーツ庁の支援策等によって、地域スポーツコミッションの数は増加しているが、組織によって、その成果は異なる。例えばさいたまスポーツコミッションは、法人化を実現し、インナー政策とアウター政策の同時展開を実施するに至った。ただし、インタビュー調査を実施するほど内容が充実した組織は多くないことが判明した。よって最終年度は、インターネット調査によって、全国のスポーツコミッションの稼働状況を調べ、帰納法てきアプローチによって、共通の取り組み課題と、組織ごとの課題を抽出するとともに、比較的実績が積みあがっている地域スポーツコミッションを対象にインタビュー調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、最終年度であり、3年間の研究の取りまとめを行うとともに、報告書を完成させることと、得られたデータをベースとして、日本における地域スポーツマネジメントの戦略的方策を提示するための著作を計画している。著作に関する具体的内容は以下の通りである:①スポーツ政策のパラダイムシフト、②地域が直面する待ったなしの課題、③地域スポーツマネジメントのパラダイムシフト、④地域に必要なマーケティング的発想、⑤新しい地域スポーツの展開、⑥プロスポーツと地方創生、⑦スポーツツーリズムの新しい展開、⑧住む人を幸せにするスポーツまちづくりへ、⑨地域スポーツを支える仕組み。 これによって、本研究のテーマである、「ハイブリッド型事業経営体によるスポーツ地域戦略に関する研究」成果を社会にアピールすることが可能となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議での発表を計画していたが、諸般の事情で参加が不可となり、交通費と宿泊費の使用が必要ではなくなった。本年度は、豪州におけるスポーツアコードの視察などにより、情報の収集を行う予定である。
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