研究課題/領域番号 |
17K01701
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
藤澤 義彦 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20209042)
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研究分担者 |
北條 達也 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40298740)
真野 功 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (50581352)
井口 順太 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (70727479)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 競技力向上 / 資質 / 骨密度 / 超音波 / トレーニング |
研究実績の概要 |
本研究は,特に大学スポーツ選手を対象として,スポーツ・トレーニングが骨組成に与える影響について,超音波骨密度測定装置を使用して検討を加えることを目的とする. 本研究は,スポーツ競技選手の骨組成に注目する.そのことから,骨密度だけでなく,超音波を使用した骨密度測定装置により, X 線CT 法では実現しなかった,「骨質」すなわち,骨の構造的「弾性的特性」についても検討を加える.今回使用する超音波骨密度測定装置は,超音波の弾性波動を利用することから,「骨質」すなわち骨の「弾性的特性」が評価できるため,新しい視点からスポーツ活動による重力負荷および筋収縮と骨組成との関係について検討を加える. 一般に骨強度とは,70%の骨密度と30%の骨質により形成されている.現在まで,骨組成の検討は,測定機器との関係があるためか,骨密度に注目した検討が広く行われてきた.しかし,骨の特性を検討するにおいては,骨質を含めた骨の構造的特性についても検討する必要があると考えられる.そこで本研究では,超音波の利点をフルに活用し,骨組成の一要素である骨の構造的「弾性特性」にからもスポーツ活動による重力および筋収縮による負荷がもたらす,骨強度と骨質に及ぼす影響を解明する. 以上のことから,スポーツ競技選手の外的資質とともに内的資質を明らかにし,多角的に競技力向上の方策を模索することを目的とする.また,本研究の成果をスポーツ外傷リスク要因の追求に生かすこともその視野に置く.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,スポーツ競技選手の超音波骨密度測定装置による骨密度測定とMRIによる筋横断画像撮影による身体的特徴を検証に先行し,被験者の身体的特徴の調査,従来の一般的計測に加えて,多用途筋機能評価運動装置BIODEX による等速性筋力,およびインピーダンス式体組成測定装置を用いて体脂肪量,筋量,体水分量等の測定を実施する. 現時点では,筋肥大を目的とした ウェイト・トレーニングと皮質骨の骨密度に有意な関係がみられ,パワー向上を目的としたウェイト・トレーニ ングでは,海面骨の骨密度との間に有意な関係が見られた.また,骨の弾性的特性とスポーツ動作との関係においては,野球選手のシーズン中のトレーニングの経時的測定において,ボールスピードの向上と,骨密度と弾性定数の減少傾向が見られた. 以上のことから,今後も継続して各種スポーツ動作やトレーニング方法が骨組成に与える影響について観察を行う.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2019年度も大学スポーツ競技選手を対象として各種の測定を実施した. 2020年度もBIODEXを使用した等速性筋力測定,インピーダンス法による形態・体組成測定,超音波骨密度測定装置による手関節骨密度測定を実施する. 各測定は, 厳寒期と猛暑期を除いて,春期および秋期に分けて実施する.被験者は,原則として大学スポーツ競技選手であるが,スポーツ競技を行っていない一般学生の測定も実施し,トレーニング負荷が及ぼす骨・筋への影響を観察する. その結果から,スポーツ競技選手に必要と考えられる「資質」の解明について検討を加える.特に本年度は,トレーニング負荷を等速性筋力測定装置(BIODEX)を用いて再現し,それらと骨形成の関係について検討を行うことにより,多角的にスポーツ競技選手に必要と考えられる外的・内的資質について検討を加える.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に予定していた,測定機器購入およびメンテナンス等が見送られたことと,2019年度中に予定していた国内・国外学会への参加予定が,予算額に達しなかったことから,2019年度の研究費を2020年度の延長して使用し研究を継続することとした. 2020年度は,従来通り現在までに得られた研究成果をヨーロッパで開催される国際学会で発表するとともに,海外ジャーナルに引き続き投稿する予定である.
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