研究課題/領域番号 |
17K01704
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研究機関 | 関西医療大学 |
研究代表者 |
井口 理 関西医療大学, 保健医療学部, 講師 (00531253)
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研究分担者 |
下河内 洋平 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (80465632)
篠原 純司 九州共立大学, スポーツ科学部, 教授 (40622048)
寺田 昌史 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (50779064)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バランストレーニング / 足関節底屈位 / 片脚立ちバランス / 足関節動揺性 / 慢性足関節不安定症 / CAI / COP / 足関節捻挫 |
研究実績の概要 |
足関節が構造的に不安定となる底屈位での片脚立ちバランストレーニングが足関節機能に及ぼす影響を検証するために、予備実験としバランストレーニングに効果があるかを、期間を短縮し検証項目を限定して実施した。 実験には一般大学生13名が参加した。介入は開眼片脚立ちバランストレーニングを、足関節底屈39°の傾斜台にバランスマットを置いた床で4週間行った。コントロール群は対側の脚とした。測定は平坦な床上の中立位条件、中立位条件にバランスマットを置いた中立位マット条件、足関節が25°底屈位となる底屈位条件、底屈位条件にバランスマットを置いた底屈位マット条件の4条件で開眼片脚立ちを行い足圧中心(COP)軌跡長(前-後、内-外、総軌跡長)と、各床条件のタスク失敗回数を測定した。また、足趾力を計測し分析に用いた。 その結果、COP軌跡長は中立位条件におけるCOP軌跡長(前-後)が有意に大きい値を示した(p =.041)が、それ以外の床条件では有意な差を示さなかった。従って、この結果だけでは足関節底屈位による片脚立ちトレーニングの効果がみられたとはいえない。しかし、タスクの失敗回数を検証すると、トレーニング後に中立位条件は平均1回が0回に、中立位マット条件は平均1.43回が0.21回に有意に減少(p =.017)、底屈位条件は平均0.07回が0回に、底屈位マット条件は平均1.43回が0.21回に減少傾向(p =.058)を示す結果となった。即ち、足関節底屈位による片脚立ちバランストレーニングは足関節神経筋機能に影響を与え片脚立ちバランス能力を向上させるが、姿勢制御のメカニズムに関与する要因の明確な影響を確認すには4週間のトレーニング期間は短い事が確認された。 また、足趾力はトレーニング後に有意に高くなり(p =.021)片脚立ちバランス能力に関与する事が確認された。同時に左右差が存在する事が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では、平成29年度は足関節を中立位から瞬時に足関節底屈回外位に変化させる際の安全性に十分配慮した角度と台の高さを確立し制作することと、その台を使った再現性を検証すること、実験プロトコルの確率であった。落とし床の製作にあたっては当初予定していた底屈回外位を同時に引き起こすのではなく、安全性を考慮して、中立位から急激な底屈位と、中立位から急激な回外位に分けて検証する事としたため、落とし床の再現性を検証する必要性がなくなった。既に落とし床は完成し最終調整を行っている。 また、平成29年で行った予備実験の検証結果の一部は、第26回日本柔道整復接骨医学会学術大会で学会発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、足関節が不安定となる底屈位で外的内反トルクが得られにくいつま先立ちによる片脚立ちバランストレーニングが、足関節捻挫の予防に効果があるかをバイオメカニクス的変数を用いて検証するために、計画書にそって実験を進めていく。ただし、当初の予定では健常な被験者だけを募集する予定であったが、慢性足関節不安定症の患者も被験者として募集することとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費については、当該年度の学会が近隣で開催されたため費用が発生しなかったが、次年度は40万円使用する予定である。 謝金については、次年度から介入実験を行うため25万円使用する予定である。 物品費については、現在作成中の分析用ソフトウェア40万円の支払が次年度に発生する予定である。また、分析用のノートパソコン30万円、統計解析ソフト20万円、分析用ソフトウェア40万円を購入する予定である。
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