研究課題/領域番号 |
17K01705
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
中谷 敏昭 天理大学, 体育学部, 教授 (60248185)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 神経筋機能 / neuromotor fitness / 下肢筋力 / 連続ジャンプ / トレーニング |
研究実績の概要 |
本年度は地域に在住する健康な一般高齢者35名(男子12名、女子23名、67.8±4.6歳)を対象に、テンポの異なる連続ジャンプがNeuromotor fitness(下肢筋機能)に及ぼす影響を検討した。参加者は性と年齢で層化し、テンポの速い(108 bpm)ジャンプ運動群17名とテンポの遅い(60 bpm)ジャンプ運動群18名に分類した。これらの対象者に週3日の連続ジャンプ運動を3ヶ月間実施させ、その前後で効果を検証した。 3ヶ月間の運動教室を完了した者は32名で、脱落した3名は動機の欠如や家庭の事情など個人的な理由であった。そのため、本年度の運動教室継続者は91.4%となった。本年度の運動実施による受傷者はいなかったことから、連続ジャンプは有害事象が認められないトレーニングであった。 1要因のみ対応のある2要因分散分析の結果、時間と群で有意な交互作用は認められなかった。テンポの速いジャンプを行った群では、前後左右方向に素早く歩くコーディネーション能力が有意に変化したのみであった。また、テンポの遅いジャンプを行った群では握力と最大2歩幅が有意に改善した。その他の能力に変化はなかった。これらのことから、ジャンプのテンポを変化させた運動は、素早い動作の改善を目的とする場合はテンポの速いジャンプ、下肢筋力の改善を目的とする場合はテンポの遅いジャンプを行う使い分けが必要であると考えられる。 これらの2年間の研究実績から、高齢者が自立生活を送るための下肢のNeuromotor fitnessを維持・改善するための運動処方の多くを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、地域に在住する一般健常高齢者を対象としたトレーニング教室の結果から、下肢の神経筋機能に及ぼす影響を検討できている。ただ、計画で朝と夕の2回運動を実施するという内容は、対象者の理解が得られず実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度と平成30年度の2年間で、一般健常高齢者を対象として実践的な運動を用いた際のトレーニング効果について検討できた。研究全体のスケジュールでは、高齢者のNeuromotor fitnessを改善する運動タイプ、運動負荷量、強度を検討した。最終年度は、日常生活動作を用いた手軽な「運動」が、Neuromotor fitnessにどのような影響を与えるのか検討する予定でいる。これまでの研究結果において有害事象は認められなかったが、連続ジャンプのイメージは膝や腰を受傷するととらえる高齢者もおり、体重の2~4倍の負荷が繰り返されることでリスクは避けられない。そのため、本年度は椅子からの立ち上がり運動を用いたトレーニングが高齢者のNeuromotor fitnessに及ぼす影響を検討する予定でいる。本年度の成果によって、日常生活動作を楽に行うことが可能になると予想している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予想した消耗品や人件費を抑制できたことによる。次年度は、最終年度にあたり成果をまとめることから国内あるいは国際学会参加の旅費に充当する。
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