研究実績の概要 |
全国大会出場レベルから日本代表レベルのシンクロ選手8名および水球選手8名を対象に,陸上でのタッピング動作を用いて,シンクロ選手の感覚運動同期と肢間協調能力の特徴を検討した.試技は指タッピング,足タッピング及びその両方の課題を陸上にて実施した. その結果,感覚運動同期についてメトロノームのビートと異なったリズムでタッピングを行う2試技では, 水球選手に比べシンクロ選手が有意に高い達成率を示し,感覚運動同期能力が高かった.一方,メトロノームのビートに合わせるタッピング試技において競技間の差が見られなかったことから, 兼ね備えている個人のリズム能力は大差がないと考えられた. 肢間協調について手と足を同時のタイミングでタッピングする試技では, シンクロ選手と水球選手に差は認められなかった. しかしながら, 手と足で別々のリズムをタッピングする2試技では, 双方においてシンクロ選手の方が有意に高い達成率を示した. このことから,シンクロ選手は水球選手よりも, 引き込み現象が起こりづらく肢間協調の制御能力が高い可能性が示唆された. シンクロと水球どちらの競技においても水上または水中で上肢と下肢がそれぞれの独立したリズムを保っている. にもかかわらず,メトロノームのビートと異なったリズムでのタッピングや手と足の別々のリズムでのタッピングにおいて,シンクロ選手の感覚運動同期能力および肢間協調の制御能力が高かったのは,シンクロ選手が音楽という耳からの感覚刺激に動きのタイミングを合わせるトレーニングを日常的に積んでおり,音楽やリズムへの対応力が優れているからだと考えられる.
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