研究課題/領域番号 |
17K01719
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
野村 照夫 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (60189438)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アーティスティックスイミング / スポーツ科学 / ビデオ時空情報 |
研究実績の概要 |
AR ビデオによるシンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミングと改称:以下AS)の科学サポートシステムの開発をテーマに取り組んだ。演技範囲全体をカバーする画角でFHD、60pでビデオ撮影した。パラASのフリールーティン・ソロ演技11名および13-15歳AS大会のフリールーティン・ソロ演技20名の演技を対象とし、時空特性を検討した。自作の2次元DLTソフト(NotePlayer2をAS用に調整し、水面上の移動軌跡を定量化および可視化した。パラASの場合、障害の種別によりばらつきが大きいものの、直線的な往復によるプールパーンが特徴として抽出された。指導者への聞き取り調査から、練習に使えるプールエリアが限定的であることや知的障害の程度によっては斜め方向への移動が知覚できないなどの理由が伺われた。また、ユースASでは、移動量、移動面積等の時空的な定量的数値はシニア選手と同等な結果を示したが、採点結果とは強い関連が認められなかった。これは、採点が個々の演技の完遂度や芸術的表現について行われていることを示し、審判の妥当性を示すものであるといえる。しかし、上半身の演技時間の短さは実施点に有意な負の相関が見られたことより、上半身のより爆発的なダイナミックな演技が必要であることが示唆された。また、飛込・AS、競泳の自動デジタイズに関するシステム選定を試み、OpenPoseの利用可能性を検討した。既学習AIでは、陸上での動作については検出できるが、水面の状況や背景のコントラストによって改善すべき課題が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
飛込の空中動作およびASに関わる水面時空情報を提示することは実現できたことから、研究は堅調に進捗していると評価できる。飛込については、放物成分と回転成分に分けて提示することができたが、捻り動作については今後の課題である。ASについては評定競技でありながら詳細な定量的なパラメータで説明しようとした試みは新規性が伺われる。今後高さを定量化する工夫が課題である。 全体として、分析に多くの時間を要するが、これまでにない尺度でビデオから定量的な図表提示ができたことは大きな成果といえる。時空情報の構造化もできることから、精選提示していくことも可能である。
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今後の研究の推進方策 |
飛込、ASに加え水球競技についてビデオ映像に付加価値をつける工夫をする予定である。多人数が水面上を動くことから、水面上の2次元DLTは実現できる見通しは立つが、自動デジタイズを進めることにより、分析時間の短縮を図り、飛込、AS、競泳にも応用することを目指す。
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