研究課題/領域番号 |
17K01720
|
研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
山口 泰雄 流通科学大学, 人間社会学部, 特任教授 (90094531)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 統合・インクルージョン / スポーツ政策 / EU / 障がい者スポーツ / 競技スポーツ / 生涯スポーツ / スポーツ団体 |
研究実績の概要 |
本研究は、EUにおけるスポーツの統合・インクルージョン政策を、メール調査およびヒアリングをSWOT分析により検証する。本年度は、オタゴ大学において開催された2019 ISSAコングレスにおいて、「スポーツの統合・インクルージョン政策:国際的なスポーツ・フォー・オールムーブメントに焦点に当て」と題し、研究成果を発表した。続いて、8月に神戸で開催された2019アジア次世代スポーツ社会科学フォーラムにおいても、研究成果の基調講演を行った。また、日本生涯スポーツ学会第21回大会において、「EUにおける統合・インクルージョン政策を探る」というテーマで研究発表を行った。 11月には、NOC*NSF(オランダオリンピック委員会・オランダスポーツ連盟)、NPC(オランダパラリンピック委員会)、KNVB(オランダサッカー協会)においてヒアリング調査を実施した。EUにおいて、統合・インクルージョン政策の先進国であるオランダでは、政府の「Sport Agenda2017」、「Nationa Sports Agreement2018」において、競技スポーツと障がい者スポーツの明確なインクルージョン政策を提示していることから、地域スポーツからナショナルチームにまで好循環を及ぼしていることが確認できた。 また、前年度実施していたTAFISAヨーロッパ加盟国へのメール調査に加え、EU28カ国に対するウェブ調査を実施した。その結果、オリンピック委員会とパラリンピック委員会が個別に該当競技だけで活動する”伝統団体型”(7カ国)から、オリンピック競技、他競技団体、パラ競技、他障がい者スポーツ団体のすべてがひとつになった”完全統合型”(2カ国:オランダ、ベルギー)の6グループに分類することができた。ケーススタディとしてのドイツとフィンランドは2020年度の課題となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は3年計画であった。しかし、2019年4月に流通科学大学に特任教授として着任したことにより、研究の進行にやや遅れが生じた。それは、これまで担当してきた講義に加え、新たな開設講義および学生対応のためである。また、1月以降の新型コロナウイルスの影響により、TAFISA等の理事会が延期され、またヒアリング調査が困難になり、情報収集に遅れが生じた。 ケーススタディとして、フィンランドとドイツを残している。ドイツは、これまでのヒアリング調査とウェブ調査により、データ量を蓄積している。2020年度においては、ドイツのケーススタディをまとめること、そしてフィンランドにおいてヒアリング調査を実施し、最終的かつ総合的なEUにおけるSWOT分析を実施することが課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終研究年度においては、ドイツのケーススタディをまとめること、そしてフィンランドにおけるヒアリング調査を進めることから始めたい。また、これまでのデータ分析によるEU各国のスポーツ団体の統合・インクルージョンをパターン化し、分析を進める。 最終的に、研究協力者を加え、EUにおける統合・インクルージョン政策のSWOT分析を行い、強みと弱みを明確にし、研究協力者と共に、今後のスポーツ政策に関する議論を行うことにより、政策課題を提示したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画は、当初3年間であった。しかし、3年目に研究代表者が流通科学大学に特任教授として着任し、これまで担当してきた講義に加え、新たなテーマの講義を担当することになった。新たな講義の準備と実施、および学生対応に時間を要したことから、研究計画の1年間の延長を申請し許可された。 最終年度である2020年度は、課題であったドイツとフィンランドのケーススタディをヒアリング調査とウェブ調査により実施する。これまでの研究成果を整理し、研究協力者と共にSWOT分析を行い、EUにおけるスポーツの統合・インクルージョン政策の強みと弱みを明確にする。さらに、強みと弱みの改善策を議論し、新たな統合・インクルージョン政策に関する政策課題を提示する。
|