パラスポーツは夏季・冬季のいずれの種目も大いに注目され、スポーツ環境は向上する機運にある。筆者らは、ウインタースポーツとしてチェアスキーを取り上げ、安全に多くの対象が参加できるように、バリアフリーの改善に注目した。研究開始時には広島県近郊でのスキー場の調査を実施していたが、西日本・中部地方に調査範囲を広げ、日本の現状と展望を考察した。 今後チェアスキーを普及し参加者を増加させるため、我が国のスキー場やチェアスキー参加者の現状の調査を行った。事前調査として、広島県内の調査は2016年シーズンまでですでに終了したため、それを基本調査として国内全体に拡大させた。 2017年から2020年の期間で、バリアフリーデザインの視点から①スキー場の設備(ハード面)とサービス体制(ソフト面)、②使用する利用者(一般利用者、(一般利用者、チェアスキー利用者、同伴者)の立場での利便性について検証を進めた。以下の4つの研究を実施した。 具体的には、研究1.スキー場のバリアフリーデザインの実地調査 研究2.スキー場における一般利用者、チェアスキー利用者の面接調査 研究3.チェアスキーのリフトでの運搬体制の調査 研究4.チェアスキー競技会での参加者・介助者・指導者の面接による意見聴取、である。 結果として、バリアフリーの視点から、ゲレンデへのアクセスには介助者の存在が不可欠であった。今後、チェアスキーを普及させるためには、宿泊できるレストハウスの整備が必要であることが示された。さらに、チェアスキーの参加者と介助者の両者にとって安全な指導体制の確立が求められた。 これらの内容について、国内外の学会で発表し、論文投稿したが、新型コロナウイルス感染の発生により学会の延期などがあり、予定の変更が余儀なくされた。
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