研究課題/領域番号 |
17K01726
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
谷口 勇一 大分大学, 教育学部, 教授 (50279296)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学校運動部活動 / 改革動向 / 指導主事 / スポーツ行政 / 「揺らぎ」 / スポーツ政策 / 総合型地域スポーツクラブ |
研究実績の概要 |
本研究課題においては、部活動改革動向―総合型クラブとの連携協力関係等がめざされている今日のスポーツ政策に関与する指導主事(教員)をめぐる「揺らぎ」の構造、さらには、スポーツ行政機関に存在する文化内容―部活動改革動向に対する意識の深層を解釈することを目的として行われている。 平成29年度においては、①「部活動の総合型クラブ化」事例を有する大分県内の元指導主事6名を対象としたインタビュー調査、②「部活動の総合型クラブ化」事例に関与した元教員3名に対するインタビュー調査を実施し、当該事例形成の過程に存在した「スポーツ行政との関係性(主にコンフリクト関係)」の内実を理解してきた。 上記の調査活動からは以下のような、スポーツ行政を取りまく各種の諸相を確認することとなった。すなわち、元指導主事ならびに教員においては、【総合型クラブ政策との接点に伴う気づき】が惹起されながらも、指導主事として活動するなかで、【先の読めない関係性に対する躊躇・尻込み】【スポーツ行政における縦割り意識の存在】【教育行政におけるスポーツ振興への偏見存在】【トップダウン政策への無意識的順応】なる意識(概念)を見出すに至った。その後、指導主事においては、人事異動に伴い、教職に復帰するが、そこでは、【部活動を生かす総合型クラブ経営への期待】【顧問教員が活かされる制度整備への期待】【理想的動向への制約に係る葛藤】なる意識が惹起されており、部活動改革および総合型クラブとの有機的関係性構築に向けた動きは為されていないことがわかった。 以上の内容から、当該地域スポーツ行政においては、<改革と踏襲をめぐる躊躇いの常態化>なる文化内容が存在している可能性が高いことを見出すに至った。 なお、調査実施時期は、平成29年1月から7月の期間である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は、科研費受託以前より構想されていたものであり、調査活動自体、当該の研究機関以前から実施されていた。 得られた研究知見に関しては、学会発表済であること、また、発表後においては論文化を試み、現在学会誌への投稿、査読審査中の状態にある。 指導主事(元指導主事)への調査活動については順調に進行したものの、「部活動の総合型クラブ化」事例に関与した教員への調査活動が少々遅れている状態である。但し、現時点(平成30年4月期)においては、当該対象者への調査が実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度においては、沖縄県を除く九州内7県における県行政内スポーツ行政機関に所属する指導主事(教員)を対象としたインタビュー調査を実施する(複数回の調査実施を予定している為、沖縄県は除外した)。その意図するところは以下の通りである。すなわち、①前年度(平成29年度)に大分県内で実施する元指導主事調査で得られることとなる、部活動改革動向をめぐる指導主事(教員)の「揺らぎ」構造の補強・完成をめざすこと、②スポーツ行政機関が教育行政(教育委員会)に留まる県(熊本県、鹿児島県、宮崎県、大分県)と首長部局に移管された県(福岡県、佐賀県、長崎県)との間には部活動改革動向をめぐる指導主事(教員)及び行政機関に生じることとなる「揺らぎ」構造にいかなる相違点が存在するのかを検討する、為である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度においては、調査対象地ならびに先行事例地への研究旅費の計上が大きくならざるを得なかった。次年度使用額(12,277円)については、翌年度において物品費として計上し、先行研究資料ならびに文献購入費として使用する計画である。
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