研究課題/領域番号 |
17K01728
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
橘 香織 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80453025)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 障がい者スポーツ / 車いすバスケットボール / 競技特性 / 運動率 / 二次元DLT法 |
研究実績の概要 |
本研究は、車椅子バスケットボール女子日本代表のゲーム中の移動距離と移動速度、加速度を客観的数値指標として定量的分析を行い、運動強度の特性を明ら かにし、競技力向上のために必要なトレーニング方策を立てるための知見を得ることを目的としている。 2020年度は前年度に引き続き,車いすバスケットボール女子日本代表の国際試合の撮影および映像分析を進めた。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年度はすべての国内大会および国際大会の開催が中止となり、日本代表強化合宿のみならず国内での競技活動はほぼ止まってしまったため、新しい試合のデータを取得することはできなかった。そのため、2018年世界選手権ドイツハンブルグ大会の動画を元に,車いすバスケットボールとバスケットボール(健常者が立って行うバスケットボール)のオフェンススキルの特性の違いについて分析を進めた。 また女子日本代表を対象に毎年実施しているメディカルチェックの分析を進めた結果、肩関節痛の自己評価指標が画像診断よりも早期に上腕二頭筋長頭腱炎の発生を予測し得ることがわかり、論文として発表を行った。 2021年に入り、少しずつ強化活動が再開されてきたことに伴い、日本代表が強化拠点としているナショナルトレーニングセンターイースト棟に設置されている無線トラッキング技術を使用した位置情報取得システムの活用を始めた。これはトレーニング施設に設置されているポジショニングセンサーにより、複数の選手のプレー中の位置情報や走行距離、速度などを測定できるシステムで、屋内施設でも利用可能なものである。車いすバスケ女子日本代表チームにシステムの活用方法について説明の上、Yo-Yoテスト実施中の位置情報計測を行い、実用化に向けての検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、新たな試合映像の取得はできなかったが、既に取得している試合映像データの解析を進めている。また並行してメディカルチェックデータやスキルテストのデータの解析を進めている。一試合の映像分析にかなりの時間がかかるが,デジタイズを正確に行うことが重要であるため,集中的に解析を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き映像分析を進め,日本と海外の強豪国との運動率や移動距離について比較検討を行っていく予定である。また,ポジショニングセンサーシステムの活用とともに、映像分析から漕ぎ始めやブレーキの動作における加速減速の大きさを評価し、トレーニング負荷 強度の推定やトレーニング効果の検討を行っていく。 また、移動距離のみのデータではなく、シュートやパスなどのバスケットボール特有の動作イベントが発生した地点を記録することでシュート距離やパスの距離を推定することができるようになる。試合のスタッツ分析を依頼しているスポーツアナリストと協力して、走力以外の競技特異的な動作パフォーマンスの分析も進めていく予定である。 最終年度となるため、これまでの研究成果をまとめ学会発表や論文の形で発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は学生が登校禁止になったこともあり、データ分析を依頼することができず、それに対する報償費執行が少なく残額が生じた。 次年度は論文発表にかかる経費の執行を見込んでいる。
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