本研究は、女性アスリートにおけるLow dose estrogen progestin(LEP)服用の副次的効果について検討することを目的とした。対象は大学生女子長距離ランナー33名であり、正常月経のある16名(正常群、18.94±0.93歳)、1年以上の続発性無月経を呈する12名(無月経群18.58±0.90歳、)および月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)および過多月経を有し、医師よりLEPを処方された5名(LEP群、19.40±1.34歳)に分類した。検査項目は、身体組成測定(BODBOD)、血液検査、骨密度測定(DEXA)、運動量(走行距離)であり、まずは各群の比較とLEP群は服用前後(6ヶ月後)で検討した。 腰椎骨密度は、正常群0.987±0.079、無月経群0.873±1.047、LEP群のLEP服用前が0.980±0.089であり、無月経群は他の群に比べ有意(p<0.01)に低かった。またIGF-1は正常群261.44±83.73pg/ml、無月経群181.25±37.01pg/ml、LEP群服用前234.20±56.32pg/mlであり、無月経群は他の群に比べ有意(p<0.01)に低値であった。LEP群のLEP服用前後においては、totalP1NPが96.93±22.30ng/mlからLEP服用後に53.36±22.59ng/mlの正常範囲内となり(p<0.05)、骨密度が服用後に1.008±0.095に有意(p<0.05)に高まった。LEP服用により低値になると報告されているIGF-1は有意な減少はなかった。このことから、無月経アスリートのLEP服用には慎重でなければならないが、正常月経者におけるLEPの服用は血液性状のネガティブな変化もなく骨密度を上昇させ、PMS改善のために有効であることが示唆された。
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