研究課題/領域番号 |
17K01735
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
飯田 義明 専修大学, 経済学部, 教授 (30297072)
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研究分担者 |
上向 貫志 武蔵大学, 人文学部, 教授 (40291661)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ジュニア・ユース選手 / 保護者 / デュアル・キャリア / キャリア形成 / 語り |
研究実績の概要 |
本研究は、プロ・サッカーチームに所属する子ども(中学生年代)の保護者を対象として、子供の進路をどのように捉えて対応しているのかを、保護者からのインタビュー調査による「語り」から明らかにすることであった。本年度は、J1に所属している某クラブの2組の保護者から聞き取り調査を行うことができた。方法は半構造化インタビューで行われ、各保護者から160-180分程度聞き取りを行った。そして、この聞き取りのテープは、トランスクリプトされた。また、並行してJクラブの現状把握の補助的作業として、クラブ関係者に現在の子どもたちの置かれている現状の聞き取り調査も行った。詳細な分析はまだ行なわれていないが、子どものキャリア形成には保護者の価値観が少なからず影響しているように感じられる。 また、調査対象である子どもたちは、エリートスポーツ選手であり学校と学外クラブとの間で二重の生活を送っている。これまでの日本のスポーツ選手は学校教育における部活動から輩出されてきていた。そのため、構造的には学校教育とスポーツは同一主体のなかで展開されてきたが、教育主体である学校と選手のトレーニングを担っている競技団体の別々の主体のなかで選手は揺れ動いている現状が見られた。そして、保護者にとっては、子どもの将来に対して変容した状況に如何に対応するべきかの苦悩が伺えた。すなわち、高いレベルを追求する選手生活の維持と勉強というデュアルキャリアを可能にする十分な環境が、構造的に困難な可能性を示唆されそうである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査方法として聞き取り調査を採用している。また、対象者のサンプル数を増やすためスノーボール法を用いているため、急速にこの研究協力者を増加させることが困難であること。調査協力許可は得ることができたが、相手保護者の方との日程調整がつかずにサンプル数が増えていないためである。
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今後の研究の推進方策 |
現在、保護者からの「語り」のサンプル数が少ない。そのため、昨年に引き続き調査協力者の増加を目指す。それとともに、スポーツ関連の先行研究および、教育社会学とその周辺領域から得られる知見を検討する。また、大谷が開発したSCAT法(Steps for Coding and Theorization)を用いて分析をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、購入予定であったレーザープリンターの購入を見合わせたこと。そして、予定していた聞き取りが調査が行えなかったことにより、旅費、人件費、そしてテープ起こしなどの費用が予定通り執行することができなかった。 また、本年度は、昨年の研究予定の積み残し分を早めに行うようにする。それ以外として、海外学会での共同研究の発表等を計画している。
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