本年の研究目的は、女性における水平方向へ跳躍を行う際の下肢動作の検討を行うことであった。 被験者は大学生の女性競技者55名を測定したうち、優秀な大学陸上競技短距離選手(11秒89‐12秒19)の3名に着目し分析を行った。本研究の分析は助走つき5段跳び(A5SJ)、助走つきホッピング(A5HJ)の下肢動作に着目した。分析項目は足関節、膝関節、股関節における角度、角速度を算出した。また算出したデータを規格化し被験者3名の比較検討を行った。 結果及び考察として、2つの跳躍における接地時間は、A5HJ の3歩目において被験者Fは0.088s、被験者Kは0.096s、被験者Nは0.079sと55名の平均値0.107sよりも短い接地時間であった。次にA5SJの3歩目においての接地時間は、被験者Fは0.079s、被験者Kは0.092s、被験者Nは0.083sと55名の平均値0.102sよりも短い接地時間であった。つまり3名の被験者はA5SJとA5HJにおいて比較的短時間で接地をしていたと考えられた。また下肢動作では、A5HJにおいて股関節及び膝関節の屈曲伸展動作が短い時間サイクルで行われていたこと、また足関節では接地局面において伸展動作が抑えられていることが示された。一方、A5SJではA5HJと比較して、接地中に足関節および股関節角度が大きく伸展し、その後の遊脚局面では股関節屈曲角速度を高め、脚を素早く引きつけていた。また最も遠くへ跳んだ被験者Kは、A5SJでは3人のうち股関節、膝関節を接地局面において屈曲伸展動作を抑えていた。同様にA5HJでも、接地局面を通して屈曲伸展の範囲を小さくしているものの、接地前においては股関節伸展速度を高めていることが明らかとなった。
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