研究課題/領域番号 |
17K01737
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
橋口 泰一 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (90434068)
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研究分担者 |
大嶽 真人 日本大学, 文理学部, 教授 (90338236)
伊佐野 龍司 日本大学, 文理学部, 准教授 (00734112)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | パラスポーツ / コーチング / インタビュー / 意思伝達 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,ブラインドサッカー(全盲)選手と「指導者」,「守備的な言語指示を行うゴールキーパー」,「シュート時の言語指示を行うガイド」を対象に,量的・質的アプローチによる調査である.本年度は,第1に言語教示内容や指導方法についての半構造化インタビューの実施,第2にプレーのイメージや実際のプレー中の生理的データと選手ならびコーチからの自由記述による回答とインタビューを用いた評価も含め,測定と分析を実施した.第1の言語教示内容や指導方法についての半構造化インタビューでは,日本を代表する指導者を対象に実施し,現在分析作業が行われ,学術論文の投稿準備を行なっている.第2のプレー中の生理的データと選手ならびコーチから自由記述により回答とインタビューを用いた評価では,測定した合宿は7回,国内で実施された大会へ2回の帯同を行い,移動距離,速度,スプリント数,心拍数を測定した.なお,その都度コーチやスタッフと,ゲームにおける選手との意思伝達や選手のプレー感覚のイメージについて,ヒアリングを実施した.現在,分析を実施しており,様々な知見が得られている. 当初最終年度に,関連する研究者との国外における視覚障害者アスリートやコーチとのインタビュー調査が予定されていた.これまでの研究を複合的に検討するための調査を実施する予定であったが,新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止措置の影響から,実施することができなかった. なお,研究実施にあたり,日本ブラインドサッカー協会,国内外のアダプテッドスポーツ関係者や研究者と情報交換や進捗状況についての会議を緊密に実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を進める上での質的な分析は,必要となる選手ならびゴールキーパー,指導者,ガイドへのインタビュー内容についての継続的な検討を実施した.また,これまでの選手やコーチ・ガイドに加え,クラブチームのヘッドコーチ,女子チームのヘッドコーチに対しての基礎的な分析を実施した.今年度は,これまでの試合における心理的な調査に加え,合宿や公式試合も含めた心拍数や移動距離,速度等といった量的データについても調査・分析を行った.また,クラブチームにおけるプレーのイメージや意識に関する調査に加え,パラアスリートにおける効果的な競技環境といった新たな視点での分析ができたことも貴重な基礎的な資料を得ることができた.なお,関連する研究者と共同研究が予定されていた国外における視覚障害者アスリートの調査以外は,課題研究におけるデータを収集することができた. 日本ブラインドサッカー協会,関連の研究者との様々な角度からディスカッションすることができ,今後の研究発展のための知見を得ることができた.しかしながら,これまでのインタビューデータについては,研究計画よりも収集したデータの編集および分析に時間がかかってしまい,学術論文受理まで至らず,分析も含め引き続き実施していく.当初の予定では,本年度で課題研究期間が終了であったが,社会情勢の影響により研究期間の延長が受理されたため,関連学会への論文投稿に向けて準備を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
これまで,国内選手におけるゴールキーパーやフィールドプレーヤーに対して,プレー中の意識について調査を実施することができた.韓国代表選手のプレー中の意識やトレーニング中の活動量や移動距離等,日本を代表するガイドにおける分析結果の発表,日本代表を代表する指導者へこれまでのアジアパラ競技大会,ブラインドサッカー世界選手権の振り返りやプレーの指示や実際のプレーの一致等について,インタビュー調査を実施した.また,ブラインドサッカーのトレーニングおけるGPS測定,ゴールキーパー・ガイドのみならずフィールドプレーヤーへの認知的側面に関する調査・測定を実施した. 令和2年度は,国内外の研究者との共同研究をする予定であるが,新型コロナウィルス感染症の影響等による進捗状況を含め実施していきたい.これらを踏まえ,視覚障害者スポーツにおける言語教示内容の分析から,有効なコーチングシステムの構築に向けた成果を発表していく.そして,日本ブラインドサッカー協会,アダプテッドスポーツ関係者や研究者と検討を行い,今後の研究を進める上での報告書の作成を行う.これまでの研究発表をもとに関連学会での論文投稿を目指し,国内外の関連学会にて発表および論文を投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
関連する研究者との国外における視覚障害者アスリートやコーチとのインタビュー調査が予定されていた.これまでの研究と複合的な検討をするための調査を実施する予定であったが,新型コロナウィルス感染症の影響から,実施することができなかったため,次年度使用額が生じた.令和2年度は,学会発表および論文投稿料等に充てる予定である.今後も国際情勢が不透明なため,その方面に精通した国内研究者との連携も含め,研究を遂行していきたい.
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