研究課題/領域番号 |
17K01738
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
青山 清英 日本大学, 文理学部, 教授 (20297758)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コーチ養成教育 / ロシア語圏 / ウクライナ / ピリオダイゼーション / コーチング学 |
研究実績の概要 |
平成30年度はロシア語圏におけるコーチング学のあり方について調査した。まず、コーチ養成教育との関わりからウクライナ・カザフスタン共和国で行われている上級コーチ養成プログラムについて調査した。その結果、両国で行われているプログラムの内容は、①古代ギリシャのオリンピックとオリンピック大会の復活についての最新の知識、②近代オリンピックの発展、問題、矛盾、③オリンピック大会に向けたナショナルチームと選手のマネジメントの準備と組織における現代的アプローチ、④オリンピックスポーツの選手に関する各一般理論の動向、⑤身体の機能システムと準備過程における適応、⑥選手の技術的、戦術的、心理的な準備、⑦選手の身体的準備における運動能力とその方法、⑧選手の長期的で現代的な準備システムと人間の発育発達、⑨選手の年間トレーニングにおける最新のピリオダイゼーション、⑩ウォームアップ、トレーニング課業、ミクロサイクル及びメゾサイクルの構築に関する現在の傾向と問題、⑪試合の準備における現代システムの予測と選択、方向付け、制御、モデリング、⑫選手の準備のための医学的および生物学的支援の現状、といった内容にまとめられた。昨年度分析した西側諸国と東欧の上級コーチ養成の考え方を比較してみると、ピリオダイゼーション理論のとらえ方に相違があることが分かった。 理論書の分析では、マトヴェイエフ、プラトーノフ、イスリン等の主要著作を分析対象として取り上げた。その結果、競技力の形成・向上に関わる様々な課題がピリオダイゼーション理論の枠組みのなかで統合化されていることが明らかとなった。この点は、米国を中心とした西側諸国の要素主義的なコーチング、トレーニング理論の考え方と異なるものであり、前述したコーチ養成教育の内容とも一致していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度の研究課題は、「東欧圏におけるコーチング学の内容とその認識論的立場に関する調査」であった。この課題を達成するために、東欧圏を代表してウクライナとカザフスタンにおけるコーチ養成プログラムの内容を分析し、その結果を「陸上競技学会誌」に『ウクライナにおける上級コーチ養成教育』としてまとめるとともに、日本コーチング学会第30回大会において、『ウクライナ、カザフスタン共和国における上級コーチ養成プログラム』と題して発表を行った。このなかでは、国際コーチングエクセレンス協議会(ICCE)のプログラムとウクライナ、カザフスタンの上級コーチ養成プログラムを比較していることから、次年度の研究課題であるロシア語圏のコーチング学と西側諸国のコーチング学を比較検討する際のひとつの課題が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は29、30年度の研究成果をふまえて、引き続きロシア語圏におけるコーチング学、とりわけ理論書の分析を進めるとともにドイツ語圏のコーチング学についても調査し、英語圏のそれと比較検討する。そのため、ドイツのハイデルベルク大学とウクライナ国立大学への訪問を予定している。それによって、英語圏、ドイツ語圏、ロシア語圏のコーチング学の内容を比較検討し、今後の我が国におけるコーチング学のあり方に関する提言をまとめる。また、一般理論としてのコーチング学の内容分析をふまえて、世界的に見ても例をみない『測定スポーツのコーチング学』を体系化するための基礎資料の収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品購入の際に余剰金として残ってしまったものなので、今年度の消耗品購入にあてる予定である。
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