研究課題/領域番号 |
17K01740
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大嶽 真人 日本大学, 文理学部, 教授 (90338236)
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研究分担者 |
橋口 泰一 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (90434068)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 障がい者スポーツ / 動作特性 / ゲーム分析 / コーチング |
研究実績の概要 |
ブラインドサッカーは、音源を頼りにフィールド内を自らの判断で自由に動き周り、相手のポジションを感じプレーを実行している。日本と韓国のブラインドサッカーを対象に「システムに対するプレーの選択」「選手のプレー技術」「戦術的な選手間の関わり」について、攻撃と守備の技術および戦術・動作特性・システムから量的・質的アプローチによる調査を用いてデータを分析する。選手の状況把握をサポート指導者・ガイド・ゴールキーパーの指示内容の意識やイメージの共有について分析を加え、選手の動作特性について明らかにし、ブラインドサッカーの競技特性を複合的に分析することを目的としている。さらに、ブラインドサッカーの強化と発展に結びつけるコーチングシステムの構築と競技力向上に向けた実践的な資料を得ることを目的としている。 初年度(平成29年度)はブラインドサッカー選手の動作特性の予備調査として、日本代表選手の所属クラブの通常トレーニング、また韓国代表選手の通常トレーニングおよびトレーニングマッチにおいて走行距離、移動スピード、心拍数などブラインドサッカー競技の基礎的なデータの測定を実施した。得られたデータが膨大なためまだ分析に対しては初期段階であるはあるが、試合を通じた韓国代表選手の動作特性と日本代表選手のトレーニング傾向を把握することができた。さらに健常者がプレーするブラインドサッカーの動作特性についてもデータを収集することができ、今後の検討に可能性を示すものであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査では、研究計画通りにブラインドサッカー選手の動作特性について、試合およびトレーニングにで測定を実施することができている。また、監督およびコーチングスタッフ、選手に試合中の動作特性について、測定結果と分析結果について報告するとともに、国内の視覚障害者スポーツに関係する研究者およびブラインドサッカー関係者と協議を行い、ブラインドサッカーの動作に関する現状と競技力向上における課題について明確にすることができた。 しかしながら、当初予定していたIBSA Blind Football Asian Cham pionships 2017(マレーシア・クアラルンプール)やブラインドサッカー日本選手権の公式戦で調査を実施するには至らなかったが、韓国代表選手が所属するチームでの公式戦や日本代表選手が所属する通常のトレーニングで調査することができた。またインタビュー調査による指示内容の意識やとプレーのイメージの分析まで至らなかった。研究発表および論文投稿については、当初の研究計画よりも収集したデータの編集および分析に時間がかかり、平成29年度の分析結果では関連学会に投稿するまでに至らなかった。現在、平成30年度の関連学会への論文投稿に向けて準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度のブラインドサッカー選手の動作測定は当初の予定通りに、走行距離、移動スピード、心拍数な基礎的なデータの測定を実施することができた。 平成30年度は、引き続き分析項目の再検討と測定を行うとともに、ブラインドサッカー選手の各ポジションにおける動きの現状を明らかにする。さらにゲーム分析およびトレーニング項目から動作特性について検討を行い、トップレベルの競技力向上に向けたフィードバック及びトレーニングサポートを実施する。またブラインド サッカー強豪国の動きやプレーについて分析を行い、得られた結果から競技力向上に向けた課題について報告を行う。 映像分析及びGPS機器による分析およびインタビュー調査などについて、日本ブライ ンドサッカー協会および韓国ブラインドサッカー協会、アダプテッドスポーツ関係者と検討を行い、今後の研究を進める上での基礎的な資料の作成を行う。 平成29年度は関連学会での研究発表および論文を投稿するまでには至らなかったことから、平成30年度ではゲーム分析および動作特性の研究成果を中間報告書として作成し、国内外の関連学会にて発表及び論文を投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究課題の遂行に必要であった測定機器を平成29年度に購入し、ブラインドサッカーにおける動作特性について測定をする予定であったが、測定データの正確性や最新の分析ソフトを使用するために測定機器を研究期間内をレンタルに切り替えたため、平成30年度に計上していた研究費を前倒して測定環境を整備したためである。また、韓国選手の試合およびトレーニング時の動作特性の調査のために渡韓が増えたこと、平成29年度は収集した映像や膨大なデータを作業するサポート補助が必要であったが、平成29年度はその機会が減少していため、当初の使用額に差が生じた理由であると考えられる。 平成30年度は研究測定機会が増えることから収集した映像や測定した膨大なデータを作業するサポート補助に使用するとともに、測定結果と動きの分析に関する専門的知識の提供に使用する。
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