研究課題/領域番号 |
17K01747
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研究機関 | 名古屋短期大学 |
研究代表者 |
寺田 恭子 名古屋短期大学, 現代教養学科, 教授 (20236996)
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研究分担者 |
鈴木 伸治 常葉大学, 保健医療学部, 教授 (50393153)
里中 綾子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 特任助教 (80632497)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 車いすダンス / GMFCS LevelⅤ / 重度アテトーゼ痙直型脳性麻痺者 / 障がい児・者通所施設 |
研究実績の概要 |
2017年度は当初の計画通り、伊豆医療センターにて青年期の重度身体障がい者のダンス方法を講習することができた。参加者は2016年度に実験的に行った講習よりも増え、かつGMFCS LevelⅤの者も生活指導員や看護師、家族らと積極的に参加してくれた。しかし、重度の心身障がいのある人たちの心拍数と呼気ガス分析を行うにあたって、インフォームドコンセントが取りにくく、結果、車いすダンス中の身体活動量を客観的に測定することができなかった。その代わりに、講習後に詳細なアンケート調査を実施し、講習中の個々人の参加意欲、顔の表情、欲求・安心・拒否等の反応をサポーターに記録してもらった。さらに車いすダンスの活動を支える人たちの率直な意見もアンケート形式で回答してもらい、代表者には面談にて多様な角度から聞き取り調査を行った。これらの資料を今後まとめていく予定である。 また、車いすダンスムーブメントとして、2017年度はタイとインドネシアで重度身体障害児とその家族(主に母親)に車いすダンスの方法を提供し、継続的に活動ができるように支援した。特にタイでは3回実践し、そのうちの1回はタイで初めての車いすダンスキャンプとなり、キャンプの様子と本研究のこれまでの成果も含めて新聞にも大きく取り挙げられた。その結果、タイでは母親のリーダーを中心として車いすダンスを定期的に行うグループが生まれ、インドネシアでは障害児財団の中で定期的に車いすダンスの実践がなされ、2018年度にキャンプを実施する計画にまで発展した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重度のアテトーゼ痙直型脳性麻痺者の運動中における酸素摂取量を測定することはできなかったものの、障害児の通所施設において多くの重度心身障がい児に車いすダンスを提供し、その方法をサポーターに学んでもらい、継続して実践する土台ができた。またアンケート調査によって個々の障がい児の車いすダンス中の様子が視覚化された。さらに、タイやインドネシアの重度の障がい児とその家族に対しても車いすダンスを提供することができ、それが継続的な発展を見せ、新たな展開を期待できるようになったから。
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今後の研究の推進方策 |
呼気ガス分析を行うことに固執せず、多様な角度から重度アテトーゼ痙直型脳性麻痺者に車いすダンスを提供する。その蓄積が日常生活に安定して車いすダンスが定着できるであろうと考えた。よって今後は車いすダンスが安定的に定着するために必要なアプローチ方法を構築し、車いすダンスの導入によってのメリットをさらに詳しく調査していきたい。また、重度障がいのある子どもたちの心身への影響を他の評価方法で測れるかどうかを検討する必要があるので、それらの方法についても積極的に探っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度は、当初予定していた国内での活動に加えアジアでの活動も繋がりがあるということから実施することになった。具体的には、タイおよびインドネシアの最重度身体障がいのある子どもたちのQOLの向上を目指して、車いすダンスを実践した。さらに現地に根差した活動として定着するための方法を現地スタッフと話し合い、また当事者の家族への聞取りおよびアンケート調査を実施して構築していった。そのため海外渡航数が予定よりも2回増え、2018年度の研究費の一部を使用させて頂くこととなった。
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