脳梗塞を念頭においた脳虚血障害に対し、運動療法により脳血管内皮幹細胞を活性化させ、脳血流量を回復させる基礎的研究を遂行した。マウスで片側内頸動脈閉塞による脳虚血モデルを作製し、トレッドミル運動療法を施行した。コントロールと比較し、虚血障害脳にHIF-1aの発現亢進、運動療法による内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)活性の上昇を認めた。網羅的遺伝子発現解析(cDNAマイクロアレイ解析)で、コントロールと比較し、運動療法群で381遺伝子の発現亢進、265遺伝子の発現低下を、脳虚血障害+運動療法群で416遺伝子の発現亢進、266遺伝子の発現低下を認めた。さらに、運動療法群および脳虚血障害+運動療法群で発現亢進を示したNR4A3、APOA5、WNT8B遺伝子は、RT-qPCRで発現量が亢進していた。NR4A3の免疫組織化学染色で発現の亢進を認めた。脳虚血障害に対する運動療法は、血管内皮幹細胞の活性化、血流量の回復(毛細血管新生)に関与している可能性がある。
|