研究実績の概要 |
骨格筋幹細胞は in vitro で培養することで筋繊維芽細胞に分化してしまい、細胞移植効率が著しく低下してしまうことが知られており、骨格筋再生治療の実現における大きな障壁となっている。本研究では、筋サテライト細胞を効率良く生体内に移植する方法を開発し、筋サテライト細胞の移植効果の有効性を検証することを目的としている。生体内での骨格筋環境を模倣した培養方法「細胞外マトリックスニッチ」の構築を行い、生体に近い状態での筋サテライト細胞の挙動や組織再生構築能力の評価を解析した。培養過程でのラミニンα3,4,5の影響を調べたところ、ラミニンα3,4,5存在下での培養は、in vitroにおけるPax7陽性細胞の培養維持に重要であることが示唆された。 本年度では、ウシの筋肉に存在する筋幹細胞についての性状解析も行った。フローサイトメーターにて分離したウシの筋サテライト細胞を含む細胞集団は、ファイブロネクチン上で効率よく増殖した。増殖した細胞集団は、大部分がPAX7を発現していた。これらの細胞をU底フラスコにより培養すると、自己凝集能力により3次元的な細胞塊を作製することができた。3次元培養された筋スフェロイドは、PAX7を含む筋関連のマーカーを発現しており、立体構築を維持したまま長期間培養することが可能であった。さらに、筋スフェロイドを脂肪分化誘導培地などの特定に刺激を加えることで、筋スフェロイド中に脂肪を溜め込む方法を開発することができた。
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