研究実績の概要 |
骨格筋は様々な因子により調節を受け、オートファジー機能不全によりサルコペニア (加齢性筋減弱症)が促進される可能性が高い (Sakuma K, et al., p62/SQSTM1 but not LC3 is accumulated in sarcopenic muscle of mice. Journal of Cachexia, Sarcopenia, and Muscle. 2016)。本研究では、オートファジー機能不全を有する簡便な加齢筋モデルを作成するために、加齢筋と除神経筋におけるマイトファジー (ミトコンドリアのオートファジー)関連物質 Parkin、シャペロン介在性オートファジー関連物質 Bag-3の変化を調べた。実験動物には若齢 (3ヶ月齢)、加齢 (24ヶ月齢)および、2週間の除神経 (3ヶ月齢)を施したC57Black/6J雄マウスを用い、若齢筋、加齢筋および除神経筋におけるParkinおよびBag-3の変化を調べた。筋凍結横断切片 (8μm)を用いた蛍光免疫染色から、加齢筋、除神経筋とも複数の筋線維の細胞質にParkinの活性が認められた。Western blotの結果から、若齢筋と比較して除神経筋、加齢筋においてParkinタンパク質の発現増加が認められたが、加齢筋では有意な変化では無かった。またBag-3については、加齢筋、除神経筋とも細胞質に発現の増加が認められたが、除神経筋においては有意な変化では無かった。また若齢筋、加齢筋、除神経筋のいずれにおいても観察されたBag-3免疫活性を有する核の割合は、各群間で有意な違いはみられなかった。以上のことから、加齢筋で特徴的なオートファジー関連物質の変化は、除神経筋において部分的な再現が可能であることが明らかになった。
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