研究課題/領域番号 |
17K01757
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小山 勝弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30313779)
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研究分担者 |
安藤 大輔 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10447708)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カロリー制限 / 給餌回数 / 運動 / 健康増進効果 / 遺伝子発現 |
研究実績の概要 |
カロリー制限(CR)単独の健康増進効果が注目されている.制限カロリー量が同一であった場合,給餌回数の相違は非摂餌時間,あるいは絶食時間に影響を及ぼし,細胞のエネルギー状態は大きく変動する.平成29年度は,給餌回数を変えたCR介入の生理的意義について検証し,平成30年度以降の運動との相互作用の検討に向けた基礎的知見を得ることを目的とした.被験動物を17週齢のWistar系雄性ラット(n=28)とした.環境馴化を図るために12時間周期の明暗サイクル(0時点灯,12時消灯)下に予備飼育を2週間行い,餌と水へのアクセスを24時間可能とした.予備飼育後,体重差などを考慮した上でラットをランダムに4群に割り付け,8週間の介入を行った.コントロール(以下Con)群は餌と水を自由摂取とし,予備飼育同様の明暗サイクルの下で飼育した.CR群は個体毎に,予備飼育後半1週間の平均摂餌量を基準として20%(重量)を減じ,餌の組成などは変えないものとした.CR群の給餌回数に関しては,従来のCR研究で頻用されている単回給餌条件の他に,活動期(暗期)に給餌を2回行う条件と3回行う条件を設け(各群n=7),飲水は全て自由とした.採取する試料は血液,下肢骨格筋,肝臓,腎臓,副腎,脂肪,および脳とし,カロリー制限や絶食時間の影響を受けやすいと想定される肝臓と脂肪(精巣上体)の代謝関連遺伝子発現をmRNAレベルで検討した.その結果,体内時計の調節を司る転写因子として同定され,脂質代謝活性を増加させると想定されるBrain-Muscle Arnt Like Protein 1(BMAL1)の発現がConと比べてCRで低下するが,給餌回数の増加に伴って増大する傾向が観察された.したがって脂質代謝の観点から,より大きな健康増進効果を期待できるCRは単回給餌条件であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに動物実験が遂行されている.具体的には,平成29年度に明らかにされた給餌回数の異なるカロリー制限の単独効果を踏まえ,それらに対する運動介入の相互作用の検証を,複数の部位を対象に,各種生化学的マーカーの分析によって多角的に進める準備が完了している.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに今後の研究を進めていく予定である.特に頻度の異なる運動トレーニングとカロリー制限の相互作用に関して,複数の臓器を対象に生化学的解析,分子生物学的解析によって検証していく
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者によって行われる予定であった組織サンプルの生化学的分析に関して,測定方法の再検討をする必要性が生じた.そのため,当該事業に充てた予算を,平成30年度事業経費に加えて,適切な手法の確認後に分析を実施する予定である.
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