研究課題/領域番号 |
17K01757
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小山 勝弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30313779)
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研究分担者 |
安藤 大輔 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10447708)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カロリー制限 / 給餌回数 / 運動 / 健康増進効果 / 遺伝子発現 |
研究実績の概要 |
習慣的な運動は様々な健康増進効果を示すが,その実施率は伸び悩み依然として「身体不活動」に起因する死亡リスクを改善する状況になっているとは言えない.またカロリー制限(calorie restriction,以下CR)も寿命延長効果を有しており,運動との相互作用に関して関心が寄せられる.そこで本研究では,健康増進効果が運動単独で認められる頻度で運動を介入した場合に対し,運動頻度をその半分に減じてCRと組み合わせた場合では,運動単独条件と同等の,あるいはそれを凌駕する健康増進効果を享受できるのかについて検討した. 15週齢のWistar系雄性ラットを,食餌条件(自由摂取,CR),および運動条件(非運動,高頻度運動 5回/週,低頻度運動 5回/2週)の組み合わせからなる6群(各群 n=6)に分類し,8 週間の介入を行った.CRはコントロール(自由摂取かつ非運動)群の平均摂餌量から 20 %(重量)減じた量とし,運動実施群はラット用強制回転カゴを用いた低強度運動プログラム(10-12 m/min, 30 分間/回)を暗期に負荷した(運動頻度のみを変化).その結果,体重と精巣上体周囲脂肪がCRにより有意に減少し,腓腹筋重量がCRと運動の実施により有意に増大することが観察され,CRや運動の相乗効果が形態に影響することが示唆された.また運動により期待される健康増進効果の一つである抗うつ作用を,骨格筋の転写活性化補助因子とその下流に位置するキヌレニンアミノトランスフェラーゼのmRNA発現応答,あるいは血漿キヌレニン,およびキヌレン酸濃度の変化から検討した.その結果,運動単独と比べて,CRそのものには顕著な抗うつ作用が期待できない可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で計画していた2つの動物実験は無事に完了し,研究目的であるカロリー制限と頻度の異なる運動トレーニング介入の相互作用の検証を,健康増進効果に関連する分子シグナルに着目して骨格筋試料を中心に実施した.本年度中に,内臓脂肪組織(副睾丸周囲脂肪)における健康増進マーカーの遺伝子発現状態を追加解析することを計画していたが,国外(中華人民共和国)で生産される測定試薬等の計画的購入が困難となり,補助事業期間を延長して分析を進めることとなった.
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今後の研究の推進方策 |
脂肪組織に対する影響が大きく発現している可能性を踏まえ,頻度の異なる運動トレーニングとカロリー制限の精巣上体周囲脂肪に対する影響を,他の臓器サンプル同様,生化学・分子生物学的解析手法を用いて多角的に解析していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
内臓脂肪組織(副睾丸周囲脂肪)における健康増進マーカー等を解析するための試薬等の計画的購入ができなかった.補助事業期間を延長することで当該試薬等を購入し,計画通りに解析する予定である.
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