研究課題/領域番号 |
17K01760
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
和田 佳郎 奈良県立医科大学, 医学部, 特任講師 (80240810)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 重力感受性 / スポーツ / トレーニング / ゴルフ / 頭部安定性 / モーションキャプチャ |
研究実績の概要 |
本研究では、スポーツにとって必要不可欠な重力感受性(HTPG)に注目したトレーニング法の開発を行う。平成29年度は、ゴルフを対象として下記の実験を行った。方法:頭部傾斜感覚適正化装置(TPAD)装着群9人(男8人、女1人、平均21.8歳)、TPAD非装着群9人(男8人、女1人、平均21.2歳)を対象として、7番アイアンで1日50球打つトレーニングを週2回、2週間行った(計4回、200スイング)。トレーニング前後に頭部傾斜SVV測定装置にてHTPGを測定し、Kinectを用いた簡易モーションキャプチャにてスイング中の身体各部位の動きを解析した。結果:モーションキャプチャによる解析結果から、TPADを用いたトレーニングによって、7番アイアンでスイング中の頭部の左右の移動距離はTPAD非装着群では有意に大きくなったが、TPAD装着群では有意な差は認められなかった。トレーニング前の左右HTPGの大きい側と小さい側に分けて見てみると、TPAD装着群ではトレーニングによってHTPGの小さい側は有意に大きくなったが、大きい側には有意な差は認められなかった。一方、TPAD非装着群ではトレーニングによってHTPGの大きい側も小さい側も有意な差は認められなかった。考察:TPADを用いるとHTPGの小さい側の増強効果は認められるものの、必ずしもスイング中の頭部安定化性は向上しなかった。その理由として次の点が挙げられる。1)7番アイアンのスイング中の頭部運動が身体安定性の指標として相応しくなかった。2)ゴルフ競技力を直接評価する必要がある。以上の結果を基にして、今後の研究計画の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、Kinectを応用した簡易型モーションキャプチャによるゴルフスイングの測定及び解析システムを確立し、TPADを用いたゴルフ7番アイアンのスイングトレーニング実験を実施することができた。また、成果の一部を学会で発表した。実験結果は「TPADを用いるとゴルフスイング中の頭部が安定する」という予想とは異なったが、その理由を検討することにより研究が大きく進展する可能性があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に実施した実験の結果から、1)7番アイアンのスイング中の頭部運動が身体安定性の指標として相応しくない可能性がある。2)ゴルフ競技力を直接評価する必要がある。という課題が見つかった。その解決策として、クラブを7番アイアンからパターに変更し、スイング中の頭部の動きとカップイン成功率を指標としたゴルフトレーニング実験を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めるため、重心動揺と頭部の動きを同期して計測する「平衡機能計と加速度センサーの同期特注システム」の作製を計画したが、費用が平成29年度の残額を超えた為、平成30年度と合わせることにした。
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