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2017 年度 実施状況報告書

サルコペニア克服標的としての機械的刺激受容機構の加齢性変化の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K01762
研究機関弘前学院大学

研究代表者

吉岡 利忠  弘前学院大学, 看護学部, 学長 (50056933)

研究分担者 後藤 勝正 (山下勝正)  豊橋創造大学, 保健医療学部, 教授 (70239961)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード骨格筋 / 加齢 / filamin C / 選択的スプライシング
研究実績の概要

本研究では、骨格筋量および機能の維持・向上を目的とした運動刺激受容機構とその加齢性変化を解明すると共に、加齢性変化の克服策を開発し、様々なライフステージに応じた骨格筋機能の維持向上のための「適度な」運動刺激の種類と強度を提示するための基盤となる研究を遂行する。本研究の目的を達成するために、3年計画で研究を実施し、本年はその初年度に当たる。骨格筋の量的変化伴うfilamin Cタンパク質発現量の変化を検討するマウスヒラメ筋のfilamin Cタンパク発現量を検討した。その結果、ヒラメ筋におけるfilamin C発現量に後肢懸垂による萎縮の影響は認められなかったが、再荷重による再成長に伴いfilamin C発現量は有意に増加した。C2C12細胞を用いて、siRNAによりfilamin Cをノックダウンしたところ、筋タンパク量が有意に減少した。しかし、筋管細胞の形態に顕著な変化は認めなかった。骨格筋の筋核内における選択的スプライシング因子muscleblind-like 1(MBNL1)発現量に対する加齢の影響を検討したところ、速筋線維が有意である足底筋では加齢により有意に減少したが、遅筋線維が多い腓腹筋外側部では加齢による変化は認めなかった。さらに、C2C12細胞を対象に、MBNL1をsiRNAを用いてノックダウンすると筋細胞の分化が抑制された。また、PCG-1a発現量の低下も併せて確認された。また、加齢に伴いアンジオポエチンの発現量低下ならびに骨格筋内蓄積脂肪が増加することを確認した。したがって、筋核内に存在するMBNL1発現量が骨格筋における加齢性変化に関与していることが 示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初、骨格筋における加齢性変化の鍵分子として、候補分子を機械的刺激受容タンパクの候補の1つであるfilamin Cと選択的スプライシング因子であるMBNL1に設定した。まず、filamin Cに対する検討を行ったところ、骨格筋の量的変化に伴いその発現量に変化を認めたものの、C2C12細胞を用いてfilamin Cをノックダウンしても、筋管形成に顕著な変化を認めなった。したがって、filamin Cの加齢性変化が加齢による骨格筋萎縮をもたらす主要因子ではないと考えられた。そこで、次の候補分子であるMBNL1を詳細に解析したところ、加齢性変化ならびにノックダウンによる筋分化の抑制が確認された。さらに次年度以降の計画であった筋核内ストレスタンパク質の加齢に伴う挙動ならびに蓄積脂肪増加機構に関する検討にもすでに着手済みである。したがって、研究は当初の計画以上に進展していると判断できると考えている。

今後の研究の推進方策

初年度の研究計画を踏まえて、加齢に伴う筋核内MBNL1の機能解析を進めると共に、加齢に伴うストレス応答の変容や炎症反応分子の反応に関しての解析をさらに進める予定である。また、細胞培養実験も継続して実施し、鍵となる候補分子をノックダウンすることで、当該分子の骨格筋量維持における役割を明らかにする計画である。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件)

  • [雑誌論文] Lactate increases myotube diameter via activation of MEK/ERK pathway in C2C12 cells2018

    • 著者名/発表者名
      Ohno Y.、Oyama A.、Kaneko H.、Egawa T.、Yokoyama S.、Sugiura T.、Ohira Y.、Yoshioka T.、Goto K.
    • 雑誌名

      Acta Physiologica

      巻: 223 ページ: e13042

    • DOI

      10.1111/apha.13042

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 筋力および筋力低下の生理学2018

    • 著者名/発表者名
      後藤勝正,吉岡利忠
    • 雑誌名

      理学療法ジャーナル

      巻: 52 ページ: 5-14

  • [学会発表] 哺乳類骨格筋細胞における機械的刺激受容Ca2+チャネルについての一考察2018

    • 著者名/発表者名
      後藤勝正
    • 学会等名
      第6回骨格筋生物学研究会
  • [学会発表] A possible role of skeletal muscle-derived adiponectin in the regulation of skeletal muscle mass2017

    • 著者名/発表者名
      Goto, K., Ito, R., Higa, M., Yokoyama, S., Sugiura, T., Miyata, H., Ohira, Y., Yoshioka, T
    • 学会等名
      Experimental Biology 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] 加齢による骨格筋組織内蓄積脂肪の増加-マウスヒラメ筋を用いた検討-2017

    • 著者名/発表者名
      横山真吾,大野善隆,池谷直美,中村文音,比嘉正輝,青島恵,後藤勝正
    • 学会等名
      第52回日本理学療法学術大会
  • [学会発表] カフェ酸およびクロロゲン酸が骨格筋細胞の分化に与える影響2017

    • 著者名/発表者名
      横山真吾,江川達郎,大野善隆,後藤勝正
    • 学会等名
      第71回日本栄養・食量学会大会
  • [学会発表] 骨格筋細胞における直鎖状ユビキチン鎖リガーゼ複合体LUBACの発現2017

    • 著者名/発表者名
      中村晃大,藤本理沙,青島恵,伊藤理香,横山真吾,大野善隆,大橋和也,杉浦崇夫,大平充宣,吉岡利忠,後藤勝正
    • 学会等名
      第72回日本体力医学会大会
  • [学会発表] 骨格筋細胞の分化に伴う熱ショック転写因子の発現応答2017

    • 著者名/発表者名
      藤本理沙,中村晃大,青島恵,伊藤理香,横山真吾,大野善隆,大橋和也,杉浦崇夫,大平充宣,吉岡利忠,後藤勝正
    • 学会等名
      第72回日本体力医学会大会
  • [学会発表] グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド受容体のノックダウンが骨格筋細胞の分化に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      青島恵,伊藤理香,藤本理沙,中村晃大,大橋和也,横山真吾,大野善隆,杉浦崇夫,大平充宣,吉岡利忠,朝倉淳,後藤勝正
    • 学会等名
      第72回日本体力医学会大会
  • [学会発表] 骨格筋萎縮に伴う選択的スプライシング因子の挙動2017

    • 著者名/発表者名
      中村文音,大野善隆,横山真吾,伊藤理香,比嘉正輝,青島恵,杉浦崇夫,大平充宣,吉岡利忠,後藤勝正
    • 学会等名
      第72回日本体力医学会大会
  • [学会発表] マウス骨格筋におけるPGC-1a発現の加齢性低下とMBNL1の関与2017

    • 著者名/発表者名
      横山真吾,大野善隆,江川達郎,中村文音,後藤勝正
    • 学会等名
      第72回日本体力医学会大会
  • [学会発表] Some aspects of HSF2 and HSF4 in differentiation of skeletal muscle cells2017

    • 著者名/発表者名
      Fujimoto, R, Nakamura, K., Aoshima, M., Ito, R., Yokoyama, S., Sugiura, T., Ohira, Y., Yoshioka, T., Goto, K.
    • 学会等名
      2017 Annual Meeting of American Society for Gravitational and Space Research (ASGSR)
    • 国際学会
  • [学会発表] Profiles of linear ubiquitin assembly complex in skeletal muscle2017

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, K., Fujimoto, R, Aoshima, M., Ito, R., Yokoyama, S., Ohno, Y., Ohashi, K., Sugiura, T., Ohira, Y., Yoshioka, T., Goto, K.
    • 学会等名
      2017 Annual Meeting of American Society for Gravitational and Space Research (ASGSR)
    • 国際学会
  • [学会発表] Ageing-associated nuclear accumulation HSP70 of mouse skeletal muscles2017

    • 著者名/発表者名
      Apostolopoulos, A., Nakamura, A., Russomano, T., Green, D.A., Goto, K.
    • 学会等名
      Biology of Ageing II “Impactful Intervenstions” Systems - Models - Pathways - Diseases
    • 国際学会
  • [学会発表] 荷重除去による骨格筋萎縮とその後の再成長に伴う筋核内ストレスタンパク質の変化2017

    • 著者名/発表者名
      後藤勝正
    • 学会等名
      第63回日本宇宙航空環境医学会大会

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公開日: 2018-12-17  

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