研究課題
本研究は、骨格筋量および機能の維持・向上を目的とした運動刺激受容機構とその加齢匹変化を解明すると共に、加齢性変化の克服策を開発し、様々なライフステージに応じた骨格筋機能の維持向上のための「適度な」運動刺激の種類と強度を提示するための基盤となる基礎資料を得ることを目的に3年計画で実施する。令和元年度はその3年目の研究計画最終年度に当たる。昨年度までの研究により示された「加齢性の選択的スプライシング因子uscleblind-like 1(MBNL1)発現量の変化」が骨格筋萎縮を引き起こすか、またMBNL1発現慮の変化が加齢性筋萎縮の原因であるとした場合、その分子機序について検討した。C2C12筋管細胞を用いた検討により、MBNL1は筋タンパク量の維持あるいは増加に寄与すること、また正常なミトコンドリア膜電位の保持にも関与することが明らかとなった。さらに、MBNL1の減少は、DNA凝集体の増加などアポトーシスを引き起こすことが示唆された。一方、成熟したマウス骨格筋では、速筋である足底筋において、加齢に伴う筋重量の低下が認められた。この萎縮した加齢骨格筋では、MBNL1およびPGC-1α発現量の低下ならびにアポトーシス関連因子の増加が認められた。しかし、遅筋である腓腹筋では筋重量の低下は観察されず、また腓腹筋内側頭におけるMBNL1発現量に変化は認めなかった。加齢性骨格筋萎縮は速筋に顕著であることから、加齢に伴うMBNL1発現量の低下とMBNL1低下によるミトコンドリア機能低下が加齢性の骨格筋萎縮の要因であることが示唆された。また、この加齢性のミトコンドリア機能の低下に、PGC-1αの関与が示唆された。今後、加齢に伴うMBNL1発現量の低下を抑制することで、加齢性の骨格筋萎縮を抑制することが可能となるのではないかと考えられた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件)
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