本研究では,社会性に関連する生育環境の違い(隔離飼育vs.集団飼育)に注目し,生理指標,脳内神経伝達物質,情動行動に及ぼす影響や,自発運動による各指標への効果を解明することを目的とした.隔離飼育は集団飼育と比較してストレスが高いと考えられ,安静時の体温上昇や脳内のセロトニンとノルアドレナリンに変化をもたらし,社会性の低下も誘発した.集団飼育における自発運動は,体重や脳内神経伝達物質の結果から,身体的に良い影響を与えることが分かったが,体温や情動行動の結果からは逆に精神的なストレスを増大させる可能性が示された.今後,自発運動の効果を最大限に発揮できるより適切な飼育方法を考える必要がある.
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