研究課題
人が二足歩行において様々な動作を行う際には、関節周囲筋群の精緻な協調性によって関節の動的安定性を得て、日常生活動作や複雑なスポーツ動作を遂行している。関節周囲筋には表層に位置し複数の関節を跨ぐ表層筋と、深層に位置し一つの関節を動かす深層筋(いわゆるインナーマッスル)が存在し、深層筋を適切に収縮させることが良好な関節運動を行わせ、優れた身体運動につながると考えられている。この深層筋の役割を明らかにすることを目的に、代表的深層筋である後脛骨筋、梨状筋、菱形筋、腰方形筋、腹横筋の身体活動時の筋活動を健常人志願者を対象にwire電極を用いて計測し解析を行った。その結果として、つま先立ちになる際には足部安定性を高めるために後脛骨筋が働くこと、頭部重心が足部上に位置する“良い姿勢”をとる際には菱形筋の活動が高まり、同時に脊柱起立筋の活動が“不良姿勢”時に比べて減少すること、前額面上における体幹・下肢の安定性には腰方形筋の活動が必要となり、歩行や走行などの片脚荷重時には股関節周囲筋群と協調して姿勢を保持していることなどが明らかになった。またスポーツ動作時に体幹を安定させる方法として、ドローインやブレーシングと呼ばれる収縮方法が用いられているが、これらの方法における筋活動様式を解析したところ、内外腹斜筋はドローインで高い活動を示し、これまで指導されてきたこととは異なる結果が得られ、今後も詳細な検討が必要であることが確認された。本研究によって得られた成果をリハビリテーションの現場で活かすことによって、エビデンスに基づいたより有効性の高い、人の身体機能を高めるためのアスレティックリハビリテーションが開発・実践されていくことが期待される。
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Journal of Sport Rehabilitation
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The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine